2025.10.17
出かけるマスプレーの噴射距離は一般的には3メートルから10メートル程度と言われていますが、その日の風の強さや向きによってどこまで届くのかが変わります。
浦田さんいわく、いざクマに出会ってしまったときには、まずは10メートル程度の距離がある状態で軽く噴射して気流の流れを見るのがオススメだそう。
そこで風の強さや向きの感覚をつかんで、いざ近づいてきたときに勢いよく噴射しクマの鼻を霧で包むという流れを実践しました。
今回のイベント参加者は登山初心者の方がほとんど。
もちろんクマスプレーに触れるのも初めての方ばかりで、まず持ち方からわからない人もいました。
何名かに実際に訓練用スプレーを噴射してもらいました。
「噴射する前にストッパーを抜くことを知らなかった」
「タイミングに迷い、なかなか噴射できなかった」
持っているだけではなく、使うことができてこそのクマスプレー。
やってみるからこそわかる気づきがたくさんありました。
また、もしもクマが襲いかかってきたときの最終手段「防御姿勢」についても教えてもらいました。
うつ伏せになって首の後ろを手で覆い、お腹を守るように身をかがめて丸くなる。
この姿勢で、頭・顔・首・腹部などの急所を傷つけられるのを防ぐ…というものです。
ここまでクマ対策について学んできましたが、占冠村だけでなく北海道のどこにいても、そして全国でも。クマはそこに暮らしています。
そして人間である私たちが海の幸や山の幸を食べて生きているように、クマも自然の恵みを食べて、山の中でただ生きています。人とわざわざ衝突したいなんて思っていないはずです。
浦田さんも幾度となくクマに遭遇していますが、みんなが闇雲に人を襲ってくるわけではなくて、多くのクマは自分から遠ざかっていくと話していました。
浦田さんの話を聞いて、登山という行為で自然界に足を踏み入れている立場は私たちであることを改めて自覚しました。
ただ「登山=自然破壊」だと考える方もいますが、悪いことばかりではないとも思います。
登山をしながら山を整備したり、地方を訪れることで山をきれいに維持するお金がその地域に還元されたりと、自然界にとってもメリットはあるはず…。
それならばやっぱり大切なのは、自然界、今回であればクマとの適切な距離。
クマ=こわい存在と決めつけるだけでなく、しっかり生態を理解してそこに生きている生き物として対峙するのが大事だと感じました。
そのためにも、普段からクマに出会わないための対策をまず第一に登山をしていきたいと思います。
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