2025.08.27

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「台風」のリスクを高めるのは、海の中でも進む温暖化?!北海道周辺の海でトップクラスに迫る危機【気象予報士が解説】

衰え知らず?勢いを増す台風

海水温と台風は切っても切れない関係にあります。
そもそも台風は、赤道付近の暖かい海で発生します。

水温が高い熱帯の海の上では、海水がどんどん蒸発し、次々と雲が発生。雲が集まって発達すると「台風」に変わります。

つまり、台風は「暖かい海」がないと発達できないのです。

それだけに、地球温暖化で海水温が高くなればなるほど、台風の勢力も一層強まっていくことになります。

そして将来的に、暖かい海のエリアは北へと広がっていきます。

その結果、台風はより北の海で生まれたり、強い勢力を保ったまま日本列島に近づいたりするリスクが高くなってしまいます。

記録的に高くなった2024年8月の海水温の分布(気象庁ホームページより)

東北付近まで赤やピンクの暖かい海のエリアが広がりました。将来的にはさらに上がる可能性も…

幸い、北海道ではここ数年、台風による大きな災害は発生していませんが、これからもずっと安心…とは決して言い切れないのです。

例えば、2016年の8月。この年はわずか一週間の間に3つの台風が北海道に上陸しました。

連続する集中豪雨により、道東を中心に月の降水量の記録を大幅に塗り替えるほどの大雨となり、各地で河川のはん濫や土砂災害が発生しました。

特に記憶に残るのが、道央と十勝を結ぶ北海道の大動脈の一つ「日勝峠」での大規模な土砂崩れです。通行可能になるまで1年以上の長い時間がかかるほどの大災害で、台風の恐ろしさを改めて感じた出来事でした。

出典:国土交通省北海道開発局帯広開発建設部

災害級の大雨の影響により、至る所で土砂崩れが発生しました。

2016年8月の降水量(気象庁ホームページより)

道東ではわずか一か月で500ミリを超える大雨となり、最も多い上士幌町糠平では978.0ミリの雨が降りました。

もちろん、2016年のような年は特異なケースとも言えますが、北海道には毎年1~3つの台風が近づいています。

そして、将来的に一つ一つの台風の勢力が強まると、北海道でもこれまでにないような記録的な暴風や大雨により被害の出るリスクがますます高まっていくのです。

筆者は、過去の気象のデータや記録を調べることは好きですが、大きな被害が出るような災害は、記録に残らないでほしいと、いつも切に願っています。

さらに、海の中での温暖化は、海の生き物にも大きな影響を及ぼします。
北海道が誇る「海の幸」にも大きな変化が…。

続きは次回の記事でお伝えします。

連載「気象予報士コラム・お天気を味方に
特別企画:地球温暖化と北海道の話~「日本の気候変動2025」を紐解く~

文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の情報は記事執筆時(2025年8月)の情報に基づきます

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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