2025.08.27

暮らす

「台風」のリスクを高めるのは、海の中でも進む温暖化?!北海道周辺の海でトップクラスに迫る危機【気象予報士が解説】

気温だけじゃない!?海の温暖化

地球温暖化というと空気の温度「気温」のイメージが強いですが、実は、水の温度「海水温」も変化が起きています。過去100年で全国の平均気温は1.40度上昇しているのに対し、海水温はおよそ1.33度と、気温とほぼ同じペースで上がっています。
 

日本近海の海域平均海面水温(年平均)の上昇率(℃/100年)(文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」に加筆)

中でも、北海道の南東側、釧路沖の海水温は1.78度も上がっていて、トップクラスの上昇幅となっています。

また、釧路は海沿いの都市ですが、気温の上昇幅も大きくなっています。同じ太平洋側の室蘭や根室がともに+0.9度に対し、釧路では+1.8度と、気温の変化も目立っています。

このような変化は、2024年に記録的な高温という形で現れました。

いつもは関東からそのまま東に流れる暖かい海流「黒潮」が、三陸沖まで北上し、釧路沖に暖かい水の渦(暖水渦)を作りました。

この暖かい海の影響もあり、この年の釧路の10月は、16日に最高気温が23.7度、23日に最低気温が17.2度を観測するなど、秋になっても気温がなかなか下がらず、100年以上ある観測の歴史の中でも、記録づくめの月となりました。
 
将来的にも、海の温暖化は進んでいくと予想されています。

そして「追加的な温暖化対策」を取らなかった場合。三陸沖から釧路沖にかけての海域では、海水温の上昇が全国の中で最も大きくなると予想されています。

日本域海洋予測データに基づく、 21世紀末における日本近海の海域平均海面水温の20世紀末からの上昇幅(℃)(文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」より引用)

追加的な温暖化対策を取らなかった場合、釧路沖では今より5度近くも海水温が上がる可能性があります。

この海域で海水温が特に高くなる背景には、地球全体の海の温度が上がることに加え、日本付近を流れる上空の風「偏西風」の影響があります。偏西風がこれまでよりも北を流れることによって、黒潮も合わせて北まで流れてくると考えられています。

「海の温度が少し上がったくらいで何が変わるの?」と思うかもしれませんが、私たちの生活にも深い影響が出る可能性があるのです。

例えば…
・台風の勢力が衰えず、これまで以上の被害が発生する
・これまで当たり前にとれていた海産物がとれなくなる
このあと、それぞれの影響についてもう少し詳しく見ていきましょう。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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