2025.05.30
ゆるむ北海道の小さな町で紡がれた、幻のようなひと夏の物語——。
かつて炭鉱で栄えた北海道・三笠市。その豊かな自然と静かな街並みを舞台に、不思議な夏のきらめきを描いた連続ドラマ『三笠のキングと、あと数人』(通称・ミカキン)。2025年4月25日から全6回に渡る放送を経て、5月30日にフィナーレを迎えました。
13年ぶりに北海道放送(株)が制作した本作は、アイドルを夢見て上京した青年・健太(演:高杉真宙)と、地元で何者かになろうとあがき続ける先輩(演:柄本時生)が、心にぽっかり空いた穴を抱えて再会し、小さな町で全力疾走する姿を描いた心温まる物語です。
さらに、6月からはBS-TBSでも放送が決定!
全国の方にも作品を楽しんでいただけるようになり、6月1日、8日、15日の日曜日、11:00~12:00に放送されます。
本記事では、出演者の奥野瑛太さんにインタビュー。役柄や作品に込めた思いについてお話を伺いました。
【今回の役どころ】
●重盛(演:奥野瑛太)
市政に関わる人物で、市長や野田と親しい関係。外資系コンサル ラトロンティアに所属。下部や大下を部下に持つ。町の権力構造に影響を与える存在。
――苫小牧出身の奥野さんにとって、地元・北海道の放送局制作ドラマへのご出演となりましたが、いかがでしたか?
奥野瑛太さん)物心ついたときから北海道放送を見ていたので感動しました(笑)現場でも噛みしめてしまいました。
地元の作品に関われるのは感慨深かったですね。これまでも北海道の作品に関わりたいと思っていましたし、「なぜ北海道じゃない人が出演してるの? そこは僕じゃないの? 」なんて、やきもきしていたところがあったので!
と言っても、今回の僕の役柄は北海道の人じゃないですけど。道外から来た、外資系企業でちょっと悪巧みを考えている存在で、そういった意味では、逆に北海道に不義理を働くみたいな気持ちで現場に臨んでいます(笑)
――「重森」を演じてみていかがでしたか?
悪役なんですけど、良い面と悪い面がはっきりセパレートしてるとつまらないかなと思って、その人の正義みたいなのもあれば深みが出るかなと考えて演じました。人を善悪で判断した方が分かりやすいんでしょうけど、誰にも嫌な面もあって良い面もある、そういうのが普通だと思うので。
――撮影の舞台である三笠市のまちの印象や、人の印象はいかがでしたか?
初めて三笠市に来たんですけど、北海道の中でも、苫小牧のような海岸部と雰囲気が違いますし、畑や建物や倉庫などすごく北海道らしい景色が広がっているなと思います。「これが北海道だ」とういうような匂いを感じます。そこがうまく映像に映っていたらいいなと思います。
――撮影で特に印象に残ったシーンは?
盆踊りの櫓(やぐら)の上で踊ったり歌ったりする人を選ぶオーディションシーンでは、参加するエキストラの多くが地元の方でそれがすごく印象に残っています。皆さん、純粋にお祭りを楽しむ雰囲気を出してくれたんですが、僕はそんなピュアな人たちを今から騙すぞっていう気持ちで、すごく心が痛かったです(笑)。僕は三笠の人たちを騙して、地元の人たちの私有地の8割を占有しようっていう役柄ですから。
――今回のドラマは、若者がもがきながら自分の人生に向き合っていく物語です。ご自身は、うまくいかない時や何か壁にぶつかったときにどうしていますか?
僕も、挫折しっぱなしです。北海道を出て、東京へ行って、にっちもさっちも行かないっていうのを未だにやってる感覚です。傍からは違って見えるかもしれませんが、ずっと落ち込んで頭を抱えながら生きています。
もう、とことん落ち込むタイプなんです。「もう立ち上がれないかも…」というくらい、毎回の現場で落ち込んでます。今回のドラマの現場もそうだと思います。
「いやぁ~失敗した、失敗した…」となって、一人でホテルに帰って、また頭を抱えて「あぁ~~~っ」てなっては、「また次の日、また次の日…」とどうにか続いていく感じです。
――そこから立ち上がって、「また明日も頑張ろう」って思える原動力は何ですか?
立ち上がる原動力なんて僕はないですし、なくてもいいと思っています。僕はいつも「大丈夫!息してる!」みたいな感覚ですね。なんか変に意識しちゃうと立ち上がれなくなっちゃうと思うので。
本当にまずいと思ったときには、ひとつひとつ問題点を、ぼ~っとしながら、落ち着いて見つめればいいんじゃないかなって思います。だれしも、本当にまずいときってあると思いますが、そういうときはまずは一回ちょっと落ち着こう。「大丈夫、息してる」という気持ちで、へこたれないっていうことだけ、自分の中にあればいいんじゃないかなと思います。
――本作の魅力はどんなところにあると思いますか?
三笠を舞台に描かれている群像劇『三笠のキングと、あと数人』っていうタイトル通りのお話で、地域に根付いている人、そこから離れて頑張ろうとしている人、若い人、年配の人、皆がそれぞれの立場で一生懸命朗らかに明るく生きていこうという姿が描かれていて、ドラマそのものがお祭りみたいなところだと思います。
「三笠北海盆おどり」を含め、登場人物や作品の内容から、明日に向かって生きるっていう、お祭りのエネルギーみたいなものが現われたらいいなと思います。ぜひお祭り感覚で見てください!
【奥野瑛太】
1986年2月10日生まれ北海道出身。北海道室蘭栄高等学校を卒業後、日本大学芸術学部映画学科に進学。在学中より演劇活動を開始し、卒業後は舞台を中心に活動しました。ラッパーとしても活動しており、テレビドラマ『植物男子ベランダーSEASON2』では、m.c;ShockBoots名義で植物をテーマにしたラップを披露し、CD&DVDデビューも果たしています。
【映画】
『SRサイタマノラッパー』シリーズ(2009年、2012年)-MCMIGHTY役
『クローズEXPLODE』(2014年)-桃山春樹役、『TOKYOTRIBE』(2014年)-WU-RONZ役
『寄生獣』(2014年)-コンビニ店員役、『死体の人』(2023年)-主演
【テレビドラマ】
『エール』(2020年、NHK)、『最愛』(2021年、TBS)
『いちげき』(2022年、NHK)-益満休之助役
【放送概要】
■番組名:Nisshoドラマスペシャル『三笠のキングと、あと数人』
■放送局 : 北海道放送株式会社(地上波北海道ローカル)
■放送日時: 2025年4月25日(金)午後6:30スタート 毎週(金)全6話 ※放送終了
■再放送日時:2025年4月29日(火)午後11:59スタート 毎週(火)全6話
■主 題 歌 : GLAY/「Beautiful like you」
■番 組 HP : https://www.hbc.co.jp/tv/mikakin/
監督:榊原有佑、門馬直人、針生悠伺
脚本:我人祥太、林青維 原案:田邊馨
出演:高杉真宙、柄本時生 / 森田想、奥野瑛太、黒田大輔、阿部進之介、久保田磨希、柾木玲弥、皇希、しゅはまはるみ、東てる美 / 竹中直人、西岡德馬
6月からはBS-TBSでも放送が決定しました。全国の方にも作品を楽しんでいただけるようになり、6月1日、8日、15日の日曜日、11:00~12:00に放送されます。詳しくはBS-TBSの公式HPをご確認ください。
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取材: 山田文裕
文・編集:Sitakke編集部 ナベ子
■【撮影裏に密着】高杉真宙&柄本時生が語る舞台裏―HBC連続ドラマ『三笠のキングと、あと数人』スタート
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