2021.10.17

深める

コロナ禍で大切なひとを亡くし、受け止めきれません。どうしたらいい?

皆さん、ごきげんよう。さっぽろの女装子・満島てる子です。

あたし、太平洋沿いの街で育ったんだけれど、亡くなった祖父の趣味が釣りでよく一緒に連れていってくれたり、家が堤防沿いに位置していたこともあって、やたらと海に行く機会が多かったの。

そのせいかしら。季節問わずにふと海が見たくなる時があるのよね。割と今それ。
実家に帰ったときも海辺を散歩しながら、おじいちゃんのことはじめ当時の諸々を思い出すのが、ひとつの儀式みたいになったりしています。

「あ~、ここで一緒に祖父と一緒に大量の"ハゼ"釣ったな~」とかね。しんみりする時もあるんだけど、次の瞬間に目の前が砂浜だったりすると、女装魂が騒ぎ出しちゃって、ユーミンの「Hello, my friend」ごっことかしちゃうの(何馬鹿やってんのって?許して…とってもいい曲だし沁みるPVなのよ)。

潮風が恋しくて、ちょっとしんみりしちゃう秋の季節。
個人的にも刺さるお悩みが寄せられたので、ご紹介させてください。

読者さんからの相談内容

「病気やコロナの影響により立て続けに友人が亡くなり、受け止めきれない日々が続いております。故人のために出来ることは何だと思いますか?」(S市在住・30代)」

まずはこちらの投稿をしてくださった方、このお悩み相談に自分の気持ちを送ってくれて、本当にありがとう。

他者の死と出会うこと、そしてその”別れ”と向き合うこと。一生のうち、どうしても避けることのできない出来事ですよね。これ実は、個人的にずーーーっと考え続けていることなのよ。何ができるんだろうって。

ちょっとしたカミングアウトになるかもしれませんが、もう何年前になるかしら、冒頭で話した祖父が亡くなったとき、あたしお葬式に出席できなかったんです。

北海道からやたらと距離のある実家。当時、取り組んでいた諸々から手を離せなかったりとかいろんな事情があって、悩んだ結果、自分で「そうする」と決めたことだったんだけれど……。

今でも、最期のお別れを顔と顔を合わせてできなかったことを思い出して、寂しい気持ちになったりすることがあります。そんな時に、おじいちゃんのために本当は何ができたんだろう、今でも何ができるんだろうって自分を省みたりするんです。

読んでくださっている皆さんも、きっとそれぞれに似たような経験があると思います。

ただ、このコロナの昨今です。いまわの際に一目会うということも難しく、弔いの会を開くのにすらデリケートにならざるをえない時代。遺された側の受け止め方、帰らぬ大切な人のためにできることも制限される中で、きっと相談者さんはすごくしんどい思いをしたんじゃないかな。
大変だったよね。

「死」という悩みと向き合うひとりの人間として、この投稿文からそんなことを勝手にいろいろ想像していました。まずは、お友達のご冥福をお祈り申し上げます。

あたしなりのAnswer

さて。この問題って、本当のところは、きっと人それぞれが試行錯誤しながら、自分で正解にたどり着くしかないのかもしれないけれど……。あたしから、相談者さんにお伝えしたいのはひとつだけ。

故人のためにできること。それは、とっても月並みに響くかもしれませんが、やはり 「精いっぱい生きること」じゃないか と思うんです。

今生の別れは、時に何にも手が着かないほど辛いものです。その相手が大切な人であればあるほど、その悲しみはより深くなる。しかも、相談者さんのように、それが続いたとなると、もしかしたら前を向く気力を出すのも難しいかもしれません。

あまりにも、大きすぎる悲しみは、正面から受け止めなくていい時もあるでしょう。亡くなった人のことを忘れられるような気晴らしをしてみることも、きっと意味があるはずです。そうやって自分のメンタルを調整していくことは、必要不可欠だと、あたしは思います。

ただ、結局大切な人のことって、心のどこかでひっかかったままになっちゃいがちなのよね。
あたしにとって祖父の諸々は、まさにそうでした。完全に忘れ去るとかそんなことは不可能だろうし、相談者さんも、お友達とのいろんなことを思い出して辛くなるようなときもあったりするかもしれない。心のひっかかりがささくれのようにズキズキするかもしれない。

でも、だからこそ。その心のひっかかりを、自分が人生を歩んでいくための道しるべに変えられたなら、それが亡き大切な人への無上の弔いにもなるんじゃないかなと思うんです。

ちょっと下を向きたくなるような気持ちになるときもあるかもしれないけれど、その心の波に身をゆだねもしつつ、大事な人を懐かしく思い出しながら、今を生きる自分の人生が少しでも豊かになるよう努めること。
それがこの世に遺されたあたしたちにできる、唯一にして最善の行動なのかもしれないと、あたしは祖父のことを思うたび考えるようになりました。

死と出会い、別れという痛みを抱きながらも、それを生きるエネルギーに変えていく力が人間にはあります。
相談者さんが少しでも未来に向かって歩けるよう、画面の向こうからではありますが、応援していますね。

ま・と・め

というわけで、今日はこちらのコラム、書きながらおじいちゃんとのいろんなことを思い出させてもらいました。
実家で、家族親戚みんなであんなことしたな~とか、ちょっとノスタルジックな気分になっちゃった。

コロナとか全然気にしなくてよくなったら一度帰省したいわ~。
すんごいのあたしんち、築年数ヤバすぎてw
(まぁ今住んでるマンションも中々の古さと外観なんだけど。九龍城ってこないだ言われたわ)。

ではでは皆さん、Sitakkeね~!

文|満島てる子
(オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。)

***
過去記事一覧:てる子のお悩み相談ルーム

★みなさんからのお悩みを大募集中!
応募フォームは こちらから。

ーーーー

<あなたに届けたい記事>
日常の疲れをリフレッシュ!旭川からドライブで1時間圏内の温泉【3選】
北国の休日に、気ままなカヌー旅。〈秀岳荘白石店〉

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • X
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • X