2025.02.19

暮らす

「クマは人を食べものだと思う?」札幌のあるマチが、専門家と探した“事故を防ぐヒント”

問題グマ「ナンバー18」と「ナンバー82」

まずは「地域のクマの現状を知る」ことから始めました。
札幌市職員や、市から委託され出没対応や調査にあたっているNPO職員が、クマの出没状況や対策の現状について発表。住民が特に関心を寄せていたのは、「DNA調査」についてでした。

札幌では、クマの出没情報が寄せられると、市やNPOの職員が現場に駆け付け、痕跡の調査をします。フンや毛が見つかった場合は、DNAを調べ、そのデータを蓄積しています。
出没時以外にも、山の中でヘアトラップ調査(クマが木に体をこすりつける習性を利用して毛を採取する調査方法)を行って蓄積しているデータもあります。

その地道な継続で、現在までにのべ162頭を識別しているといいます(うち40頭はすでに捕獲または自然死したと見られている)。

このデータは、「どのクマに、どう対策すべきか」を考えるのに役立ちます。
住民地での出没が10件相次いだとしても、それは10頭のクマが出ているということではありません。DNAや、目撃したときの姿の情報などを組み合わせると、すべて同じ1頭のクマだと推定することもできます。

札幌市の監視カメラに映った、ナンバー82とみられる母親と子ども3頭(画像提供札幌市)

円山西町や藻岩山の周辺では近年、「ナンバー18」と「ナンバー82」というクマが、問題個体として注目されてきました。ナンバー18は子どもを2頭連れた母親、ナンバー82は子どもを3頭連れた母親です。

特に注意すべきクマがわかると、そのクマの行動範囲や状況をふまえて、対策を考えられます。ナンバー82・ナンバー18とみられるクマは、すでにどちらも捕獲されています。

ただ、それで安心、で終われる話ではありません。

その後、残された子どもと見られるクマが、人が捨てたとみられる生ごみをあさる姿も目撃されています。
ごみなどによって、一度クマに「住宅地や人には近づいていい」と学習されてしまうと、親子の代にわたって、人にとってもクマにとっても悲しい状況が続いてしまうおそれがあります。

そして山の中には、ほかのクマもいます。出たクマを「捕獲」するだけでなく、山にいるクマたちを住宅地に引き寄せないための対策、人に近づきたいと思わせないための対策=「防除」も大切なのです。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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