2024.05.08
深める一方で、旧姓を「通称」としてそのまま仕事上で使える企業・団体は増えています。
それでも、社会保険や給与の紐づけなどシステムの改修が必要となり、いまだに「できない」とする企業があるのも事実です。
加えて、海外ではそもそも「通称」は使えないことが多いといいます。
そんななか、2024年2月、経済界で大きな動きがありました。
それは、経団連の十倉雅和会長のこんな発言。
「選択的夫婦別姓制度を一丁目一番地としてぜひ進めていただきたい」
十倉会長は、現状の旧姓の通称使用では海外で公的機関に出入りする際や、研究論文を発表する際などに支障が出ていると指摘。
政府に対し選択的夫婦別姓制度の実現を促す発言をしたのです。
駒川教授は、この発言が大きな追い風になると期待します。
「今までの女性が被ってきた不利益を理解しての発言で、同時に企業にとってもマイナスだと理解しての発言ということになりますから、非常に大きな意義があると思います」
十倉会長の発言の背景には、女性の社会進出が進んだ影響があります。
「やはり女性が人材として重要だという認識が進んだ、高まったということ」だと駒川教授は話します。
現在、上場企業では女性の役員の選任というのを強く求められていて、女性が管理職さらには役員になっていくという現実があります。
そうしてキャリアを積んだ女性が、姓が変わることで、同一人物としてはみなされないということを、その企業が「大きな損失」と捉えるようになってきているのです。
そして、なぜ改姓をすることによってさまざまな手続きが必要なのだろうと、企業も考えるように変わりつつあります。