2024.04.19
食べる災害時は、水や電気などのライフラインが途絶え、復旧まで数日から1週間以上かかることがあります。
一般社団法人「防災安全協会」の事務局長・水口健さんは、「いざというときでも、工夫次第で料理はできる。大切なのはアイデア」と話します。
今夜にも台風が来ると予想されたある日、水口さんが夕方にスーパーに寄ると、周囲の人はカップラーメンや菓子パンなど、すぐに食べられるものを買い占めていました。反対に、肉や野菜などの生鮮食品を買う人は少なかったといいます。
水口さんは、肉や野菜と「鍋のもと」を買って帰りました。自宅にはカセットコンロと水の備えがあるため、停電が起きたとしても鍋を作れると考えたのです。
「普段からやっている鍋も、視点を変えると防災食になります。反対にカップラーメンは水が必要なので、水も買っておかないと、断水になったときは困ってしまう」
天気予報を見て準備ができる災害もありますが、地震のように、今起きてもおかしくない災害もあります。水口さんは普段から自宅に、カセットコンロと「長期間保存できる、お気に入りの食材」を備えておくことを勧めます。
ただ備蓄しておくだけでなく、賞味期限の古いものから消費し、また買い足して常に一定の食品を確保する「ローリングストック」という方法があります。「お気に入りの食材」を見つけることは、ローリングストックの実行に有効だといいます。
「米やみそ、ヨーグルトなど、『なくなってから買う』のではなく『なくなりそうになったら買う』という食材がそれぞれの家庭にあるのではないでしょうか。それが実はローリングストックの始まり。缶詰など長期間保存できるものの中でもお気に入りの食材を見つけて、『好きなものをちょっと余計に買う』習慣をつけるところから始めてみてほしい」
さらに、「災害発生直後は、自治体に備蓄されているアルファ米やクラッカー、乾パンが配布されやすいですが、炭水化物だけを食べていると便秘などの体調不良につながります。二次災害を防ぐためにも、タンパク質など栄養がとれるものも用意しておくべき」と話します。
たとえば、防災安全協会が主催する「災害食大賞Ⓒ2021」の缶詰部門でも、焼き鳥缶が優秀賞を受賞しています。
販売するホテイフーズコーポレーションの販売企画課・物江祐太朗さんは、この商品は「そのまま食べてもおいしい」点が災害食に適していると話す。豚肉や牛肉に比べて、鶏肉は脂の融点が低いため、加熱できない環境でも、口に入れるだけで脂がとけ、おいしく食べられるといいます。
その上で、普段はアレンジをしながら楽しんで食べてほしいと話します。
「3年から5年と、賞味期限が長いのが特徴ですが、『ローリングストック』で日常使いできる商品でもあります。そのためにアレンジレシピが有用だと考えています」
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