2024.04.06
暮らす最後に、「もし自分が聞かれてもちょっと困るだろうなぁ」と思う質問を投げかけてみた。
けれど、小田井さんのように、これだけ本気で物事に向き合っている人だからこそ、どのように答えるのか、とても気になったからだ。
「小田井さんにとってアートとはなんですか?」
「生きることです」小田井さんがさらっと言い、私はドキリとする。
「心の支えでもないし、目標でもない。私にとって、大事なことは、友達とワイワイできることなんです」と笑顔で話す小田井さん。さらにこう続ける。
「美術的視点で『アートとはなにか』と言うと…私にとっては、世の中に対する“文句”なのかな。でも、その文句にはこうなったらいいな、面白いなっていう願いも込められていると思うんです」
「現状に不満があるからこそ生まれる妄想が、アートなんだと思います。“幸せ”じゃなくたっていいんです、なにか満たされないものがあってこそ、人生だって、アートだって、面白くできる」
本物の言葉を食らうと、頭にガツンと響きます。
小田井さんのまっすぐな思い、これまでの時間、作り上げた場所、繋いだ関係、それら全てが彼女にとってのアートであり、「生きる」という言葉に集約されている。
”アートとは生きること”。
文字で起こすにも少しビビっちゃうくらい、いまの私には口にするのが難しい言葉だ。
「わかる!」という自信を持ちきれないし、「わからない」という責任も持てない感覚に少しだけ苦しくなる。