2024.03.18
深める真吏奈さんの作品を通して感じるのは、独特な世界観。
女性をメインのモチーフにしている理由は?
彼女たちをとりまく神秘的な、幻想的なイメージはどこから?
気になるその由来を教えてくれました。
「母と叔母と私、女3人の家庭で育ちました。生きることにおいてパワフルな2人ですけど、影で涙を流しているのを見たこともあります。女性の芯の強さと繊細さを感じる瞬間が多くあったんです」
そんな強さと繊細さが共存する女性の美しさを表現しようと突き詰めていく中で、現在の作風が出来上がったといいます。
自分自身も、強い女性に憧れがあるといいます。
ー 初めて作品を見たとき、力強さに圧倒され、特に眼差しが印象的だなと感じました。
「ありがとうございます。そもそも特に意識して描いてきたわけじゃなく、好きな顔を描いているだけだったんですよ。気の強そうな眼差しが好きで。すると目を褒めていただけることが多くなって。それで『ヴィーナス・アイ』と名付けて自分でもより意識するようになりました」
母の故郷・江差町から受けた影響も大きいそう。
「長期休暇のたびに訪れていて、毎年とても楽しみにしていました」
夏には、北海道最古と言われるお祭『姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)』で町全体が盛り上がります。
「お祭りの熱気がすごく印象的で、心に強く残っています。小さな町だけど、祭になると、人々がエネルギッシュで情熱的になるんです」
「それと、母の実家は江差町の古いお寺で、遊びに行ったときには、従妹たちとで境内でボール遊びをしたりとはしゃいでいました。すると祖父が『賑やかにしてくれると“みんな”喜ぶよ』と」
今になって思うと、“みんな”って誰?(笑)
「でもそういう神秘的なものも幼少期から違和感なく受け入れていました」
お寺というスピリチュアルな場所が真吏奈さんにもう一つのインスピレーションを与えてくれました。
「絵の中の、女性を包み込むような雲や動物といったモチーフは『女性に寄り添う守り神』を意識しています」
ポーリングメディウム(アクリル絵の具を混ざらないように加工して垂らす手法)で作った背景の上から描く。写真は女性の周りの背景色を塗っている様子。
「筆はだいたい2本持ち。細かく塗る用と広めに塗る用です」
赤入れ修正を加えた下絵。パーツごとに下絵→パソコンで取り込む→色や配置を検討→出力→赤入れ→キャンバスへ描く、という手順が多いそう。
「配置や配色を考えたりする工程は特に、デザイナー時代の経験も生きていると感じます」