2024.03.07
深める「いろいろ人間関係があってなぁ…。今で言う『パワハラ』や。なんでか、僕ばっかり狙われますねん」
「仕事が終わりかけるころ、上司が『きょう話あるから、ちょっと残っとれ』って言いますねん。あぁ、またやと思いました」
「みんな帰った後の事務所で1対1になって説教され、そしてその上司が突然怒り出して、罵声を浴びせますんや」
「そりゃあ、怖かった…。でも思い当たる節がまったくないし、何を言っているのかサッパリわからへん。ただ、怒鳴ってますねん。それが1時間ぐらい続きますねん…」
「悩みました。誰にも言えへん。下向いて『はい、はい』と言うばかりでした」
「その内、違う上司からも同じように呼び出されて、罵声を浴びせられることが定期的にあるようになって、その人数が5~6人に増えて、入れ代わり立ち代わり、大声で怒鳴られることが続いて…」
そんな日々に、楽しかった旅行は、いつしか現実逃避するための旅に変わってゆきました。
勤め先が実家の会社だったこともあり、ふらりと出た旅は長期に渡ってもとがめられることはなく、その内、帰る足が遠のき、それまで旅行で何度か来たことがあった北海道で、駅舎や公園に野宿して時間が過ぎてゆきました。
H.Yさんが40代後半から50代になる、今から20数年前のことでした
「その頃は、もうホームレスやったのか…旅をしていたのか…」
「金は、働いて貯めた蓄えが少しあって、それをちょっとずつ使いながらおった」
両親や兄弟がいる実家には、たまに手紙を書いたこともありましたが、それも途絶え、携帯電話も持たず、路上での生活が日常となりました。
「独りが楽ですねん。遠くにいることが楽ですねん」