続いて、やってきたのは、SCARTSから徒歩5分、東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)。SIAF2024では 「未来劇場」と名付けられています。
ここからご案内くださるのは、未来劇場のキュレーター/企画担当でSIAFのマネージャーでもある細川麻沙美さん!
細川さん:今回のSIAFのテーマ「LAST SNOW」には、皆さんが最後に見た雪、つまり今日の雪を見ながら、次の雪のこと、未来を考えるきっかけにしてほしいという思いが込められています。
先ほど見ていただいたSCARTS会場は「今」をコンセプトにしていて、北海道立近代美術館会場は「100年前から現在」をコンセプトにしています。
そしてここ未来劇場のコンセプトは会場名の通り未来、「2124-はじまりの雪‐」です。3つの会場で「アートの200年の旅」をしてもらいたいという大きなストーリーを描いています。
堰八アナ:100年後に何が待っているか、ワクワクしますね!しかもここ、劇団四季の公演を見に来た時は、客席にしか入ったことがないので、裏側を探検できるのも楽しみです!
細川さん:では、100年後の世界へのタイムトラベルに出かけましょう!
タイムトンネルを抜けると、目に飛び込んできたのは……
細川さん:このエリアは、韓国人アーティストのチェ・ウラムさんの3つの作品で構成された「未来の風景」です。機械が自律的に活動する未来がいつかやってくるかもしれないというイメージが発想の原点になっています。今ご覧いただいている作品が「穴の守護者」です。
堰八アナ:機械仕掛けで動いているけど、まるで生き物? お腹が膨らんだり萎んだり、本当に腹式呼吸しているみたい……
細川さん:この《穴の守護者》が守っているのが、その奥で光っている《無限の穴》です。
堰八アナ:わー、穴がぐるぐる回っている!バーチャルだとわかっていても落ちたら大変なことになりそう。なんか、ドラえもんの世界みたいですね!
細川さん:チェ・ウラムさんが聞いたらきっと喜びますよ! 直接お会いした際に聞いたのですが、彼はドラえもんが大好きで、子供の頃はいつドラえもんがやってきてもいいように、デスクの引き出しを常に開けていたらしいですよ!こうして機械作品やロボットをつくるきっかけに繋がっているかもしれませんね。
堰八アナ:ドラえもんって、海外アーティストにも影響を与えているんですね!
細川さん:そしてこちらの作品をご覧ください。
堰八アナ:天井から機械仕掛けの白い花?が吊り下がっていますね。
細川さん:この作品は、花びらがフロアに付いた状態からどんどん上に上がっていき、まるで咲き誇るかのように大きく拡がった後、また静かに舞い降りてきます。現代人には色々な欲望が日々渦巻いていて、例えば韓国では美容整形やアンチエイジングが盛んです。それに対してチェ・ウラムさんは、自然の流れや変化に逆らわず歳を取っていくことこそ美しいのではないかと考え、そのメッセージは《素敵に枯れていきたい、君と。》というタイトルからも読み解くことが出来ます。一ループが約30分の大作です。
堰八アナ:素敵ですね!
細川さん:ただそれだけではなく、生と死や、「LAST SNOW」というテーマに呼応するような水蒸気・雲・雪など、いろいろな循環を象徴する作品でもあります。また、これまでにご覧になった方からは「お花見しているみたい」という声も聞きました。いつかもし自然が破壊されたら、私たちは機械で自然の移ろいや花の美しさを楽しむことになるかもしれない、そんな意味でも「未来の風景」を考えさせられます。