2024.01.20
深める「将来の夢として、アーキビストって職業にあこがれてて…」
明るく笑いながら話すのは、札幌の大学生・あいりさん(仮名・20)です。
アーキビストとは、地方議会や国会の法案資料や、永久に保存しておくべき歴史資料を管理・保存する専門職。
「元々、歴史がすごく好きなんです。だからかっこいい仕事だなと思っていて」
未来を見つめる前向きな若者。
取材で話を聞く私には、あいりさんはそう映りました。
HBC報道部に配属されて2年目の私は、これまで、風俗、孤立妊婦、発達障害のグレーゾーンなど、悩みを打ち明けられずに「閉じ込められた」女性たちと、支援の現場を追い、取材を続けてきました。
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そんな取材の経験から結びついたあいりさんとの出会い。
あいりさんが生き生きした表情をみせるようになったのは実はごく最近…。
夏に迎えたある転機がきっかけだったといいます。
それは、「生まれ育った家を出る」決断をしたこと。
そして、こう話してくれました。
「小さいころから、兄の暴力を受け続けていました」
あいりさんの決断の背景にあったのは、兄からの暴力、つまりきょうだい間の「虐待」でした。
これまでも家を出ようと考えたことはありましたが、母子家庭であったこと、金銭的な余裕がなかったことなどを理由に、ずっと行動できずにいました。
そして2023年7月、大学の先生にこれまでに受けてきたことを初めて打ち明けたのです。
これが、あいりさんが生まれて初めて、他人に「助けて」と言えた瞬間でした。
大学の先生は、さらに次の一歩を踏み出すヒントをくれたといいます。
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