お寺さんが日常から遠い存在になって久しくなります。“葬式仏教”と揶揄(やゆ)される時代に檀家離れや墓仕舞いが進んでいます。そうした中、「カレーライス」を誰彼なく一緒に食べて、高齢者も子どももお父さんもお母さんも同じ時間を過ごすことで、その存在意義を問うお寺があります。
お寺は怖いところなのか?葬式の時にしか行かなくなってしまったところなのか?そもそもお寺の役割は何か?北海道の人口1万人余りの小さな町で、ある寺院が試みる地域のつながりを考えます。
元日にまさかの大地震(令和6年能登半島地震)が起きた石川県へ、北海道のお寺からその翌日、救援物資が発送されていたことを、私は知りませんでした。
送り主は、日本海に面する岩内町(いわない・ちょう)の「浄土宗岩内山帰厚院(きこういん)」の住職、成田賢一さん(47歳)です。物資は帰厚院に備蓄していた非常食で、大人1人が3日分過ごすことができるものが60箱、同じ宗派の金沢市内のお寺へ送られました。成田さんが素早く対応した背景には、同寺が日ごろから地域の人たちと続けているまちづくりや人づくりの活動がありました。