2023.11.20
深める今回のお悩み、あたしとしては、自分の仕事柄、ちょっと複雑な気持ちになる部分もあって……。
お店はもちろん、テレビやコラム、ドラァグクィーンとしての活動にしても、どれもこれもどうしても人気商売。「推し」ていただかないと前に進めないというか、食いっぱぐれる恐れまであるのよね。
だからこそ、自分のことを応援してくれて、その存在をSNSなどで「布教」しようとしてくださる方々には(その中には、かつての言葉で「強火のヲタク」とも呼ばれたかもしれない民も、しばしば目にすることがありますが笑)、頭が下がる気持ちになったりもするんです。
そういう立場からすると、「あのね!推しがね!えっとね!」と目をギラギラ輝かせながら、すごい勢いでおのれの好きをプレゼンしてくださる人と出会ったりすると、自分の話題ではなくとも「うんうん、こういう方のおかげでなんとか生きていられるのよね、こちら側の人間たちって……」と、しみじみ感じたりもするんだけれど。
とはいえ、あまりにその好きの熱が高すぎて火炎放射どころか、「大文字」状態になっちゃってたりすると、話を聞いている立場としてはたまったもんじゃないわよね。
それに、あたしがいくら美味しいうどんを勧められても、蕎麦派であることを変えられないように(二日酔いの時の塩梅の良さたるやね)、勧められる側にも好き嫌いというか、趣味嗜好があるわけで。
身近な人に「推し勧誘」されて、こころが動き、そちらの世界に自然とのめり込んでいく人もいれば、どれだけPRを受けたところで、食指が全然動かない方もいるはず。
ふぐさんと同じように「ハマってほしいと言われても……」と困ったことのある人、きっと読者の皆さんの中にも一定数いるじゃないかしら。
「推し活」「推しごと」なんて派生語彙まで生まれ、推しの存在は「正義」「健康にいい!」と無条件に尊ばれることもある昨今。身近な人が「〇〇、共に推そうよ!」と誘ってきたときって、そんな世の中のノリも相まって、はっきり「いやあたしはいいかな」と抗いづらいもの。
ましてや、ふぐさんも懸念しているように、拒絶しちゃうとその人との関係性にヒビが入っちゃいそうだから、仲良い相手であればあるほど、なおさら布教をさえぎるのが難しくなってきて……やんなっちゃうわよね〜。
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