2023.11.17
深める「『子ども食堂』が有名になるほど、メディアに『苦しい子を助ける場所』として取り上げられている感覚がありました。それで子ども食堂に来づらくなる子もいるんですよね。
子ども食堂って苦しい子を助けるための場所なのか…?とモヤモヤしていました」
取材をしている私も、取材前には子ども食堂に対して「生活が苦しい子を助ける場所」というイメージを持っていました。
食べることにも困るくらい貧しい子が、ご飯を食べたり勉強を教えてもらえる、炊き出しよりも温かい場所―。
そんな風に思っていましたが、どうやらそうではないようです。
大学4年生のとき、二本松さんは子ども食堂の実態調査をしました。
「道内の子ども食堂の30カ所を食べ歩き、ヒアリングをしました。当時は皆さん手探りで運営したこともあり、快く調査に応じていただけました」
調査を進めていくと、子ども食堂の実態や悩みはそれぞれだったといいます。
「運営側の方が気合が入っていて、子どもではなく独居老人の方しかいない子ども食堂もありましたよ(笑)。困っている子どもが来ないんですが、どうしたらいいですか?って言われることもありましたね」
実際にご飯が食べられず困っている子は確かにいるはず。しかし、そんな子が自分で見つけて子ども食堂に来られるとも限りません。
「子ども食堂は来てくれた目の前の子を対象にすることしかできません。それぞれの家庭の事情は少し関わっただけじゃわからないし、運営する大人が困っている/困っていないの線引きをすることは難しいです。するべきじゃないとも思います」
「困っている子を救う場」としての子ども食堂が機能するには複雑な問題があることを、二本松さんは教えてくれました。
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