2021.08.03

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十勝のビールに乾杯「ビールでつなぐ、地域の思い」

帯広唯一の醸造家・十河(そごう)文英さん


十勝で熱を帯びつつあるビールづくり。各町の活動に関わるのが、醸造家の十河文英さんだ。取り組みへの思いや、ビールづくりの基本を紹介する。

タンクが並ぶ醸造室

少量生産のいわゆる「地ビール」が全国で続々と誕生したのは、1994年の酒税法改正がきっかけだ。十勝も例外なく、96年には「帯広ビール」が十勝初のクラフトビールを発表。

「十勝夢酒蔵」(十勝ビアファクトリー)、「十勝ビール」が直営のビアパブをオープンさせ、盛り上がりを見せた。全国的には第3次ブームと言われる昨今、十勝では町村のカラーを映したさまざまな銘柄が生まれている。そんな中、各地域のクラフトビールづくりのパートナーとして活躍するのが、帯広唯一のビール醸造家・十河文英さんである。

帯広市大正町で約7年前からビール用の大麦生産に挑む農家「大正大麦笑(だいばくしょう)の会」のメンバー。大麦は十河さんが造るビールにも使われている

十河さんがこの道に向かったきっかけは、約20年前のヨーロッパの旅。麦芽の味が生きるビールのおいしさに感銘を受け、その後十勝ビアファクトリーに就職した。2009年に醸造家として独立し、現在は帯広ビールの醸造所を借りてビールづくりに励む。十勝では「おいものおもい」「ミツマチクラフト」など、十河さんが関わったレシピは数多い。

十河さんが大切にするのは、新たなビールを生み出そうとする人々の「地域への思い」だ。可能な限り地場産品を使い、郷土愛やときには課題をビールで表現する。今は十勝の農家と共に原料の大麦づくりにも挑み、「いちからもの作りができるのが楽しくて、幸せです」と目を細めた。

帯広の「ときいろファーム」の木イチゴを使った〈フランボワーズ〉は、毎年クリスマス時期に限定発売。写真は左から生産者の鴇崎伊吹さんと、ビールを扱う市内のビアカフェ「米風」の中村晃さん、十河さん (2020年11月30日付、十勝毎日新聞より)

醸造所を見せてもらった。醸造室には500リットルのタンクが8個並び、毎日、発酵具合を確認する。加えて、「ビールに音楽を聴かせています。酵母は生きているから」と笑顔を見せる十河さん。愛情たっぷりに育まれる十勝のビール、これからどんな文化が醸造されていくのか、楽しみで仕方ない。

5月の畑の様子

帯広市出身、フリーランス醸造エンジニアの十河文英さん。「次の10年の目標は仲間づくりです」

<おいしいビールが生まれるまで>

気になる造り方を学ぼう!

取材協力/ソゴウ ブルーイング 代表・十河文英さん

※フリーマガジン「Chai」2021年7月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。

Chaiでじ

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