7月に入り、道北の礼文島では、ホッケが旬を迎えています。
しかしスーパーで、ホッケの刺身を見かけることはあまりありません。
その理由とは?
札幌市内に6店舗を展開するスーパーの北海市場。
屯田店は魚の種類が豊富で、
鮮魚だけでも、およそ30種類も販売しています。
きっとこのお店なら、ホッケの刺身があるはず…
しかし、見つかったのは開きや加熱用の生魚だけで、
お刺身コーナーには、ホッケの姿はありませんでした。
スーパーにホッケの刺身が打っていない理由。
そのわけは、「寄生虫」だといいます。
ホッケの内臓には、アニサキスなどの寄生虫がすんでいることがあり
死後1時間ほどで、内臓から身のほうに移動してしまうんです。
アニサキスを死滅させるためには、48時間以上冷凍する必要がありますが
ホッケは水分が多いため、解凍したときに水分と一緒にうまみも消えてしまうといいます。
そうすると食感も味も落ちてしまうため、
北海市場ではホッケの刺身を提供していないということです。
手稲区の激安スーパー・キテネ食品館にある鮮魚コーナー。
刺身で提供しない理由には、
ホッケの「鮮度の落ちやすさ」もあるといいます。
朝には新鮮でも、店頭に置いていると
刺身として食べられる鮮度が夕方まで持たないそう。
一方で、必ずしもホッケの刺身を、
スーパーで売っていないわけではないといいます。
危険性が低い、「養殖」のホッケです。
道南の松前町。
松前さくら漁協が養殖しているホッケは、
アニサキスが寄生している可能性が非常に低く、
刺身用としても出荷されているんです。
しかし、スーパーで販売されるのは2月から5月ごろの期間限定。
そんな中、一年中、生のホッケが食べられる店を発見しました!
道内8店舗を展開する回転寿司チェーン「まつりや」では、
1年中、新鮮なホッケの握りを食べることができます。
そのお味は・・・?
「おいしいわ!いけるんでないかい。ちょっと甘いね。悪くない!」
初めて生ホッケを食べたお客さんも、よろこびの声をあげていました。
ここ2~3年で、生でも食べられるようになった背景には
冷凍技術の進歩があるといいます。
生でも食べられるホッケ。その秘密を探るべく、札幌市手稲区の栄興食品で、加工工場を見せてもらいました。
ホッケは鮮度が命なので、羅臼で水揚げされた後、その日のうちに頭や内臓を除いて工場まで運んでいるといいます。
鮮度がいいうちにさばくことで、アニサキスが内臓から身に移動することを防いでいるのです。
高濃度のアルコール液に漬けて凍らせる、「アルコール凍結機」。
この機械に、うまみを逃さない秘密があります。
ただ凍らせた場合、細胞が壊されて、うまみが流れ出てしまうのですが
この機械で急速凍結すると、細胞を壊さず、味や食感をキープすることができるそうなんです。
-32℃のアルコール液に漬けこむこと15分・・・
たったこれだけの時間で、生のホッケが、板のようにカチコチになりました。
ホッケどうしを叩き合わせると、「カンカン」と音がするほどです。
凍らせたホッケは、新鮮なまま店に運ばれます。
水揚げから店舗までの連携と最新技術によって、
今までは食べられなかったホッケが生で味わえるようになったのです。
※掲載の内容は「今日ドキッ!」番組放送時点(2021年7月15日)の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、最新の情報は各店舗・各施設にお問い合わせください。