2023.11.03
出かけるこちらは、ファンの間で、特に人気だという「山本理髪店」。
作品内では店名もそのままに、第七師団の“狙撃手”・尾形上等兵が髭剃りをしていた理髪店として描かれている。
洋風建築が特徴的なこの建物。大正期につくられ、昭和期まで札幌円山エリアで「地元の床屋さん」として親しまれてきたんだとか。
ちなみに私の父親(円山出身)も、「俺も昔通っていたよ~。当時のまんまだ!」と、この写真を見てとても懐かしんでいた。
松井さんによると、開拓の村の特徴は、建物の7~8割が“移築復元”されたものであるということ。
“再現”ではなく、“復元”。つまり、レプリカではなく、明治・大正期につくられた建物をそのまま移築し、組み立て、当時のようすを復元しているということらしい。SUGEEE! だから「リアル」なんだ。
「建物だけでなく、雑貨や医学書なんかも、(建物を寄贈してくれた人が)そのまんま寄贈してくれたからね。
展示されている小物も、当時のものが多いの。そういう部分にも注目して見学すると面白いと思いますよ」と、松井さん。
さらに村内を周ってみる。
こちらは、留萌郡・古平町の開業医・近藤清吉が建てたとされる「旧近藤医院」。
昭和33年(1958)まで使われていた病院。
窓から差し込む光の加減や、静謐(せいひつ)な部屋の雰囲気、病院特有の乾いた匂いに、“当時の病院感”をすごく感じた。
(もちろん私がこの時代を生きていたわけではないのだが……)
明治四十年代の資料。さりげなく展示されていたが、これもきっと歴史的に貴重なものなのだろう。
こちらは、道東の茅沼(かやぬま)で、明治19年(1886)頃に建てられたという「旧武井商店酒造部」。
戦時下の統制で酒造中止命令が出される、昭和19年(1944)頃まで酒造りが行われていたお店とのこと。
茶の間には、お椀や徳利(とっくり)などが、木製のちゃぶ台にこじんまりと並んでいる。
この感じ、なんだか懐かしい。幼い頃、祖母の家に訪れたときのような“リアル”な感覚だ……。