2023.10.24
暮らす2020年夏、札幌市南区に何度も現れた、やせたクマ。
このヒグマのものとみられるフンから、札幌市指定の燃えるごみの袋の一部が見つかりました。
食べものや飲みもののごみは、クマが人の食べものの味を覚えるきっかけになります。
ポイ捨てをしない・ごみ捨ての時間を守るという、当たり前のマナーを守ることが、対策の第一歩。
クマも人も傷つかないように、マナーで防ぎましょう。
2019年夏、札幌市南区藤野・簾舞に毎日のように現れたヒグマ。
家庭菜園のトウモロコシなどを荒らし、だんだんと人に慣れ、家の庭でゆっくり3時間、リンゴを食べるまでになりました。
札幌市には、専門知識を持つNPOと協力しているという強みがあります。
出没のたびに調べて、集めてきたヒグマのDNAをたどることで、ヒグマ出没のきっかけに、もうだれも管理していない果樹園など、いわゆる「放棄果樹」があることを突き止めました。
この翌年から、市民団体と、市民ボランティアが協力し「放棄果樹」を切って片づける活動が広がっています。
実はこの活動、ヒグマ対策以外のメリットもあるんです。
⇒【クマ被害、実は4年前に前兆が…「スーパーマン」の登場で叶った“うれしい”対策とは】
札幌の公園です。この中に、ヒグマの等身大パネルが2頭分隠れています。
住宅地での目撃が多い若いオスの平均的な大きさです。
右のほうに隠れているのですが…まったく見えませんよね。
ヒグマは体が隠せる茂みや川を移動します。
みどり豊かな北海道には、住宅の近くにも、こんな「ヒグマの通り道」がたくさんあります。
人とお互いに気づかずに近づいてしまい、ばったり出会うと、事故につながります。
そんな事故を防ぐ対策もあるんです。
それが「草刈り」。
札幌市南区の石山地区では、2014年から毎年、町内会や大学、市が協力して「草刈り」をしています。
見通しをよくして、ヒグマが住宅地に入ることや、事故を防ぐ対策です。
草刈りを始めてから、その場所を通ったヒグマは確認されていません。
10年も続くヒミツは、「がんばりすぎない」こと。
おかしを食べながら学生によるヒグマレクチャーを聞いたり、ビンゴ大会をしたり…ゆるく楽しい、地域の恒例行事です。
さらに、かつての参加者が、知床でも草刈りを主催!
石山地区をはじめとして、今は札幌・南区を中心に、町内会や学校が主体の草刈りが広がっています。
あなたのマチにも、広げてみませんか?
⇒【この中にいる「クマ」、見つけられますか?実験で「クマとまちづくり」を考える】
⇒【クマは草に身を隠して住宅地へ…草刈り対策、効果ある?2023年の実施場所を振り返る】
パネル展では、占冠村や島牧村といった、道内でも先進的な対策をしているマチも紹介しました。
さらに、音と光で動物を追い払うオオカミの形をした装置「モンスターウルフ」に…
電流で畑などへの侵入を防ぐ「電気柵」の実機も展示。
クマの出没や被害を防ぐための選択肢は、民間の努力でも広がっているのです。
クマとの共存が、ますます「ひとごと」ではなくなってきた今、あなたのマチにぴったりのクマ対策を探して、じぶんにできることから始めてみませんか?
【ヒグマフェス2023】
・11月3日(金・祝)10:00~18:00
・札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)北3条交差点広場
・無料、入退場自由
・この記事でご紹介したパネルと、占冠村、島牧村についてのパネルも掲示します
・多彩なゲストをまねくステージイベントや、クマの毛皮に触れるコーナーもあります
・詳細はホームページからご確認ください
・主催:北海道、事業実施:HBC
連載「クマさん、ここまでよ」
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。