2023.10.22

食べる

【函館】「喫茶店のナポリタンとはこうあってほしい」願望を叶えてくれる『喫茶タイム』

喫茶タイムのナポリタン

とにかく毎日店が開いている喫茶店だ。

「だって定休日ないもの。決まった時間に来る常連さんが多くて、それがまた曜日とかもバラバラだから休めないのさ。親の葬式のときだって半日は開けたからね」と笑う店主の小林博行さん。とことんタフである。

1975(昭和50)年に開業した『喫茶タイム』は、当初コーヒーとサンドイッチだけで商売を始めた。

当時は喫茶店の需要がいまと比較にならない時代。極端な話、コーヒーだけで商売になったのだ。
しかし徐々に客のニーズが変化したことから、次第に料理も増やすことになった。

ナポリタンはその先陣を切った定番品で、こちら側がいだく「喫茶店のナポリタンとはこうあってほしい」という願望を見事に叶えてくれる。

麺は200gと多めで、茹で上がった麺を炒めるというより「ケチャップを炒める」くらいの感覚で、たっぷりのケチャップを加えて強火で長くしっかりと。
さらにバターとチキンスープも加え、くどさを弱めつつ味にコクを出す。
具に海老が入ってるのも嬉しい。

「最近、海産物ってなんでも高いしょ?だから具に海老を入れたの失敗したなって思ってんだよ、最近は(笑)。でもいまさら変えられないしねぇ」

一時期は毎日60食売り切り、フライパンを振り続けた小林さんの手が腱鞘炎になったほどの人気者だ。

小林さんの父は、喫茶タイムを開業する以前の1960年代に大門・一番通りで喫茶『大門コーヒー苑』の店主として愛された人。現店舗はオリエント急行食堂車をモチーフにしており、かつて家具職人だった父が率先して造作を行った。

喫茶タイム

北海道函館市千歳町8-12
0138-22-6901

***

『peeps hakodate』vol,118「どうか変わらず、ずっとそのままで。函館グルメ遺産」より

peeps hakodate

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