産着やおむつを用意して、我が子の誕生を待ち望む、新婚の「ふうふ」。
左がきみちゃん、29歳。からだは女性、こころは男性のトランスジェンダーです。右が3歳年上のパートナー、ちかさん。からだは男性、こころは男性ですが、日によって女性寄りの日もあって、好きになるのは男性だけだといいます。
2人は、「こころが男性どうし」のふうふです。
連載「忘れないよ、ありがとう」ではこれまで、結婚や妊娠への想い、病院の挑戦についてお伝えしてきましたが、きょうは2人を応援する人たちについてお話します。
白い紙に大きく書かれた、「希」の文字。
2人の間に宿った、赤ちゃんの名前に使う漢字です。
「将来、希望にあふれた子に育ってほしいっていう思いがあって」
もう一文字、羅針盤の「羅」という字を組み合わせて、「羅希(らき)」と名付けることにしました。
「人を希望に導けるようになってほしい」。そんな想いを子どもの名前に込めた背景には、2人がこれまで関わってきた人たちへの気持ちが影響しているのではないかと感じました。
2人が出会ったのは、札幌のバー。すすきのの中心部から少し西、市電通り沿いにある、「7丁目のパウダールーム」です。
ちかさんはここで週に何度か働いていて、きみちゃんはもともと、お客さんでした。
7丁目のパウダールームは、「セクシャルフリーの女装サロンBAR」。客もスタッフも、自分が好きな格好をして過ごすことができます。性別にとらわれず、仕事の話でも恋愛の話でも自由にできる空間です。
2021年12月中旬。店のママである満島てる子さんに会いたいと、ある人が訪れました。
ちかさんのお母さん・みゆきさんです。
■こころが男性どうしのふうふと、新しい命を見つめた連載「忘れないよ、ありがとう」