2023.09.28
暮らす午前4時00分、ブラックアウトから35分。
北電は「ブラックアウト」からの復旧 「ブラックスタート」に動きます。
最優先で電気を送らなくてはならない場所があったのです。
それは、泊原子力発電所です。
使用済み核燃料の冷却水を循環させるポンプなどは「電気」で動きます。
東日本大震災で、東京電力福島第一原発では、外部の電源を喪失。
核燃料を冷却できず「メルトダウン」。建屋が爆発したのは、記憶に新しいところです。
午前6時30分、ブラックアウトから3時間5分。
ブラックスタートで重要な役割を果たした発電所は、日高山脈の山中にあります。
新冠発電所です。
放水を始めて、発電が始まったのは午前6時30分すぎ。
発電所のログには「1.0」=1000キロワットと記録されていました。
水の力で電気を作る水力発電所は、種火のような「非常用発電機」の電気でも動かすことができるからです。
長引く停電の影響が、道内に広がり始めます。
多くの道民が、電力の早い復旧を求めていましたが、作業は慎重に、慎重に、進められました。
小原教授は、「電力の需給バランスを見て、電力がどれくらいの量が必要か、どこの発電所を、どのようなルートで電気を送らなくてはいけないか、一番早く解決するかということを全部計算している。これを一つ一つ慎重にやっていかないとまた電力が落ちてしまう」と話します。
しかし…午前9時18分、ブラックアウトから5時間53分。
北電・苫東厚真発電所から消防へ、通報がありました。
「北海道電力の苫東厚真発電所ですけれども、タービン設備のところから火が出ている、今、消火活動中です」
苫東厚真発電所4号機のタービンが出火。
道内最大の発電能力を誇る「復旧の切り札」を失ったのです。
北電の真弓明彦社長(当時)は、「3台の復旧には少なくとも1週間以上かかる見通し。すべての電源が落ちてしまうということ、苫東の3台のみならず、そこのところのリスクは低いとみていました」と話していました。
北電は、苫東厚真以外の火力発電所を1か所ずつ再稼働させて、停電は徐々に復旧。
さらに本州からの送電も再開され、地震から3日目=8日午前0時13分、ようやく道内のほぼ全域で停電が解消されました。
北電はブラックアウトの教訓から、以下のような再発防止対策を進めています。
・本州との電力をやり取りするルートを増強⇒5年後には電力量は倍になる予定
・送電線の揺れの防止と鉄塔の基礎の補強
・石狩湾新港LNG発電所の発電機 増設予定⇒発電所の分散で一極集中を回避したいが、まだ先
胆振東部地震から5年。
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連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容はHBC「今日ドキッ!」放送時(2023年9月6日)の情報に基づきます
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