2023.09.28
暮らす44人が犠牲になった胆振東部地震から、9月6日で5年がたちました。
「あの日、何があったのか」を詳しく知ることで、「必ずやってくる」といわれる巨大地震から、命を守るための道すじを見つけていきます。
北海道内を流れる電気の周波数は、本来「50ヘルツ」に保たなければなりませんが、あの日は、需要と供給を一致させることができず、ついに、国内初のブラックアウトに陥りました。
連載「じぶんごとニュース」
震源は胆振地方中東部。
震源から20キロの位置にある「北海道電力 苫東厚真発電所」では、地震によって、3基ある発電機のうち、2号機と4号機が自動停止。
地震の18秒後、発電が止まりました。
ここは北海道内最大の火力発電所で、当時、道内の電力のおよそ半分の発電を担っていました。
電力が減った瞬間、道内各地の発電所や変電所で、強制的に停電させるシステムが作動。
電力不足を意味する「周波数」が大きく落ち込んだのです。
北海道の電力事情を研究する、北見工業大学電力工学研究室の小原伸哉教授は、「北海道は50ヘルツの周波数の電力ですが、逸脱すると電力会社は電気を止める。止めないと、あちこちで事故が起きたり、いろんな異常動作が起きるということがあります」と話します。
小原教授の監修のもと、小学生向けの模型で実験しました。
5つの豆電球は、電力を使う私たちの住宅や工場、コンビニなど。
そして、記者が持っている「手回し発電機」が発電所です。
小原教授によると、「手回し発電機」の回転のスピードが、電気の周波数。
回転がゆっくりになると、電気の供給量が減ります。
手で回す発電機のスピードが一定でない、つまり、周波数が乱れると、電気製品が正しく動かなかったり、火が出たりして事故が起こる可能性があるため、一部の地域を停電させる必要があるのです。
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