2023.09.06
暮らす「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。
記録的な猛暑の夏もようやく落ち着いて季節が進み始めました。
ただし、秋は大雨の季節です。前線や台風の影響で大量の雨が降って、北海道も何度も洪水被害に見舞われています。
そこで、今回は、本格的な大雨の季節を前に、風水害から命を守るために知っておきたい用語の解説をランダムに、最新の事情を反映した解説を行っていきたいと思います。
はじめに基本のキ、「注意報」と「警報」です。
数時間後に天気が荒れそうな時、つまり災害が発生するくらいの現象(大雨や強風など)になるかもしれないですよ、とあらかじめ教えてくれる情報が「注意報」、さらに、“重大な”災害が起きるほどの現象(大雨や暴風など)になるかもしれないですよ、の警告が「警報」です。
注意報⇒災害が発生するくらいの現象(大雨や強風など)になるかもしれないですよ、とあらかじめ教えてくれる情報
警報⇒“重大な”災害が起きるほどの現象(大雨や暴風など)になるかもしれないですよ、の警告
ともに、気象庁から発表されますが、
警報はテレビ・ラジオで速報することになっています。
それでは、最新の気象用語の解説にうつります。
最近、テレビやラジオで頻繁に聞くようになったと思います、線状降水帯。
雨雲レーダーで見ると、文字通り雨雲の群れが帯状になっている状態です。
しかも、普通の雨雲がたまたま並んでいるのではなく、線状降水帯を構成しているのは活発な積乱雲ですから、レーダーの画面上では真っ赤な帯に見えます。
積乱雲は、雷をともなって非常に激しい雨を降らせることで知られていますが、雲の形は縦長ですので底の面積は小さく影響範囲は狭い、そして寿命も30分から1時間程度と短いのが特徴です。急に激しい雨が降りだしたと思ったらすぐにやむ、メリハリの効いた降り方をします。
ところが、線状降水帯の怖い特徴が2つあります。
1つめは、多数の積乱雲が群れをなしているので影響範囲が広いことと。
もう1つは、本来、寿命の短い積乱雲がつぎつぎに世代交代を繰り返すことによって、同じような場所で長時間に渡って激しい雨が降り続くこと。
これらが同時に起こるため、崖崩れが起きたり、急激に川の水かさが増えてあふれたり、住宅が浸水するなどの大きな災害を引き起こすおそれがあるのです。
線状降水帯の現象自体は昔からありましたが、2014年に広島市で77名の方が犠牲となった土砂災害が起きて、その要因が線状降水帯だったことが、大きく取り上げられるきっかけになったと記憶しています。
線状降水帯はその発生を予想するのが大変難しい現象なのですが、気象庁では、空振りをおそれずに、発生の可能性を察知したら、半日ほど前から「顕著な大雨に関する情報」という形で発表して、線状降水帯による大雨への警戒を呼びかけることにしました。
この体制がとられたのが2021年6月のことでした。これにともなって、テレビ・ラジオでこの言葉を見聞きする機会が急に増えたわけです。
線状降水帯の発生が予想されたら、ハザードマップ上の危険な地域にお住いの方は早めに避難をするなど身を守る行動をおすすめします。当然、線状降水帯以外の要因でも大雨災害は起きるので、他の気象情報にも注意して危険を避けるようにしてください。
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以上、風水害から命を守るために知っておきたい用語の解説をご紹介しました。“近藤流の解説”ということで、それぞれの用語の定義をそのままコピペするのではなく、わかりやすさ優先のため、定義を多少アレンジして解説しています。
正確な定義を知りたい方は気象庁HPなどで直にご覧になることをおすすめします。
文:HBCウェザーセンター・近藤肇(こんどう・はじめ)気象予報士
→X(旧:Twitter)@hajimenokondo
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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