雪国の北海道では、夏も白くふわふわとした雪のようなものが舞っています。地面を白く染めて、まるで雪が積もっているようです。北海道では夏にも雪が降るの!?
いいえ、正体はとある植物の種。さて、夏の北海道で降る雪の正体とは、いったいなんなのでしょうか。
北海道で夏に見られる白い雪のようなものの正体は、“ポプラの種子”です。
ポプラの木は、北海道では街路樹として、あるいは公園などに植えられていて、初夏に白い綿毛がついた種を大量に飛ばします。“柳絮(りゅうじょ)”と呼ばれる現象です。ときには地面が真っ白になってしまうほど、たくさんの種子が飛ぶこともあります。
北海道では6~7月頃にたくさんのポプラの種が舞い、降り積もって夏でも雪のように見えることから、“北海道の初夏の風物詩”ともいわれています。
ポプラは特定の種類を指した名前ではありません。ヤナギ科ヤマナラシ属の樹木の総称で、いろいろな木がポプラの仲間です。特徴としては、枝が横に広がらず縦に伸び、すらっと縦長に木が生えます。
外来種のポプラは野生で育ちにくく、街で見かける木はほぼ人工的に植えられているものです。日本で多い品種としては、涼しい気候を好み、北日本を中心に植えられている『セイヨウハコヤナギ』があります。
また、日本で街路や公園に植えられているポプラのうちのひとつが『ヤマナラシ』。わずかな風でも葉が揺れて、さらさらと音がするため、「山を鳴らす木」として『ヤマナラシ』という名前がついています。
北海道の『ヤマナラシ』はかつて箱などの細工物やマッチ軸木、割り箸などの木材として加工されていました。今はパルプ加工されているものが大半です。ポプラは北海道の暮らしに寄り添ってきた木ともいえそうですね。
ポプラの木が見られるスポットとしては、「北海道大学」の札幌キャンパスにある『ポプラ並木』が有名です。1903年にポプラの小規模な植林が行われ、1912年には林学科学生の植苗実習が行われたことで、現在のようなポプラ並木になりました。
しかし、2004年には台風18号の影響で半数近くのポプラが倒壊。全国からの寄附金によって、倒木の立て直しや若木の植樹が行われ、約80mを散策できるようになりました。
「北海道大学」の創基125周年を記念して、2000年には新たに『平成ポプラ並木』も誕生。現在のポプラ並木の枝を挿し木にして育てられました。全長約300mの遊歩道の両側に、合わせて70本のポプラがずらりと並んでいます。
どちらのポプラ並木も、学外の一般の人でも見学できるので、気になる方はぜひ足を運んでみてくださいね。
札幌市手稲区にある「前田森林公園」のポプラ並木も有名です。『カナール』と呼ばれる水路の両側に約200本ものポプラが並びます。
歩くと森林浴ができて心地いいです。水路の先には西洋の庭園をイメージしてつくられた『サンクガーデン(沈床花壇)』があります。シンメトリーの庭園はまるでヨーロッパ。北海道にいながら異国情緒を感じられます。
自然豊かで美しい丘や木々が有名な美瑛町にある、『ケンとメリーの木』もポプラです。
1972年に放送された日産自動車『スカイライン』のCMで『ケンとメリーの木』が登場したことで、全国的にも知られるようになりました。北海道大学の並木とは違い、1本だけそびえ立っています。
冬になると葉が落ち、周りは雪の銀世界に包まれます。枝が霧氷をまとい、真っ白な姿になることも。白い綿毛の種が舞う姿とはまったく違います。本物の雪をまとうポプラも美しいですね。
【もっと詳しく】
雪のように舞う白い綿毛のポプラは、北海道らしい風景をつくってくれる木のひとつでした。ぜひ夏の北海道の風物詩も見に来てみてくださいね。
<スポット情報>
■北海道大学
■住所:北海道札幌市北区北8条西5丁目
■アクセス:JR札幌駅北口から構内まで徒歩約7分
■前田森林公園
■住所:北海道札幌市手稲区手稲前田591番地4外
■アクセス:地下鉄南北線「北24条駅」下車、バスターミナル1番乗り場で中央バス北72「前田森林公園行き」乗車、「前田森林公園入口」下車、徒歩約1分
■駐車場:【新川P】366台(身6台)、【東側P】106台(身1台)、【南側P】566台(身8台) ※冬期は新川駐車場のみ
■ケンとメリー
■住所:北海道上川郡美瑛町大久保協生
■アクセス:JR美瑛駅より車で5分
■駐車場:有(無料)
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