北海道で初めての赤ちゃんが、夏休み中にも誕生するかもしれません。
札幌市円山動物園で出産を控えるアジアゾウ、パールに 「陣痛」 の兆候らしき行動が見られています。
来園者も「元気に無事に産まれてくれればいい」とエールを送ります。
8月に入ったばかりの円山動物園。
ゾウが暮らす屋内施設は、8月2日から一時、閉鎖されていました。
赤ちゃんの出産が迫ってきているからです。
「親子がたわむれているところが見たい」
「元気な赤ちゃんを産んでね」
来園者からも期待がかかります。
妊娠中のパール。
ゾウ舎が閉まる1日前は、新鮮な木の枝や葉を夢中で食べ、いつもどおりの姿でした。
それが翌日、8月2日の昼すぎ、後ろの足を交差させたり、横たわったり、おなか周りをしっぽでたたいたりと、急に様子が変わったのだといいます。
陣痛の兆候と判断し、動物園はゾウ舎を閉鎖。
パールが安心して出産に臨めるよう準備を進めています。
ゾウの出産は、道内では初めて。
さらに、今回のゾウの出産は 全国的にも「初めて」 の特別な意味を持ちます。
これまでの全国の動物園での出産では、安全のため、一時的ですが足を鎖でつなぎ、コンクリートの上で、赤ちゃんを産み落とす様子がわかります。
一方、パールが出産するのは、ふだん私たちが見ている屋内施設の砂の上。
親子のメスゾウが見守る中、出産する予定。
飼育員が手助けせず、より自然に近い形、 「ゾウのゾウによる出産」 を目指します。
一方で、産まれる赤ちゃんとパールを守るため、動物園としての備えも欠かしません。
そのために、全国に先駆けて取り組んできたのが、人間とゾウのエリアをしっかり分ける、 「準間接飼育」 です。
ゾウに協力してもらって、おり越しに健康管理を行い、ゾウと人、両方の安心・安全を守ります。
飼育員の小林真也さんは、「出産のときにトラブルになったとき、破水しても分娩が始まらないとか、産道に胎児が引っかかってしまったときには、動きを制御して、介添えというか補助しないといけないので」と話します。
飼育員との信頼関係ができている今、出産の「もしも」に備えた直腸周りの処置にもパールは動じません。
今、まさに出産が近づくパール。
3日も後ろ足を交差させるなど、陣痛の兆候とみられる行動も確認されているものの、多くの時間はゆったりと過ごせているため、動物園では、本格的な陣痛の前に起こる「前駆陣痛」ではないかとみています。
ただ、出産までもう少し時間がかかる見込みとなり、 8月9日からはゾウ舎屋内施設の閉鎖を解除 。
それでも 8月中には生まれる とみて、円山動物園では血液検査でのホルモン値の様子も見ながら、注意深く歴史的な赤ちゃん誕生を待っています。
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年8月3日)の情報に基づき、9日のゾウ舎閉鎖解除の情報を追記しています。
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