2023.07.29
深める札幌市の隣・当別町にある、障害者たちの自立を支援する事業所が、北海道内であまり例のない仕事を始めました。
その仕事が通所者にもたらした「効果」とは?
連載「じぶんごとニュース」
人懐っこいワンちゃんに…
おやつに夢中なネコちゃん。
札幌市の隣・当別町にある、障害者の自立をサポートする就労継続支援B型の事業所です。
ポメラニアンのヘレンちゃんは、産まれた際に母親に足を咬まれ、右足がありません。
ただ、人懐っこくて散歩もできる、元気いっぱいの子です。
この事業所は、札幌市でトリミングなどを行うペット関連ショップの会社が今年3月に開業しました。
病気などの理由でペットショップでの販売が難しく、行き場を失った犬やネコたちを引き取り、飼い主を探すのが主な仕事です。
運営会社「パウ」の渡邉泰代表は、「ブリーダーさんから預かって、すぐ新たな飼い主に渡すのはちょっと無理がある。事業所の利用者さんが世話をして、人慣れをさせて渡せたらもっといいんじゃないか」と事業を始めた理由を話します。
事業所には、知的障害のある人やうつ病の人たちなど7人が通っています。
通う人たちは、犬やネコたちの世話をしたり、運営会社の店で配るグッズを作ったりしながら、自立を目指し、事業所のサポートを受けています。
そんな通所者のひとりに、看護師のひろさん(仮名)がいます。
ひろさんは、20年ほど前にうつ病を発症。
病院勤務を続けていましたが、4~5年前から引きこもりがちになり、家からほとんど出られなくなってしまったといいます。
そんな状況から「外に出ていこう」と見つけたのが、この事業所。
「犬が大好きだったから」と通うことを決めました。
ペットのお世話をすることで、自らも「ある効果」を実感しているといいます。
「動物を飼うっていうことは命を預かることになるので、責任を負うということだと思うんです。そこも含めて動物を飼うということは、とても素晴らしいことだと思います」
事業所に通う別の人も、「癒される」とペットと触れ合う時間を穏やかに過ごしています。
事業所の管理責任者で社会福祉士の佐藤史彰さんも、「人と向き合う、話すことに恐怖心を覚える方がいるんですけど、そこに動物がいると緩和されて、ハードルが少し下がる」と、動物たちの持つ力に「可能性」を感じています。
「社会につながりながら、自分のできることをどんどん増やしていきたい」と意欲をみせるひろさん。
この事業所では、動物たちとの触れ合いを通して地域社会とのつながりをさらに強め、通っている人たちの自立を促したいと話しています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2023年7月19日)の情報に基づきます。
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