2023.06.20

暮らす

「雲海」観光におすすめの日はいつ?霧のメカニズムから読み解く【気象予報士コラム】

「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。

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北海道の太平洋側の夏は「霧の季節」でもあります。この霧によってもたらされる幻想的な「雲海」。これらはどんな気象条件で発生するのでしょう?これを見れば「雲海観光」の予定も立てやすくなりますよ。

雲海観光にオススメの日は?

北海道の夏はカラッと暑いイメージがあるかもしれませんが、太平洋側では「霧の季節」となります。太平洋の海上で発生した霧が陸地に流れ込むためですが、
霧の一番の発生原因は、千島列島から釧路沖・三陸沖へと流れる「親潮」という海流です。親潮は「寒流」で冷たい海水が流れるため、北海道の太平洋の海水温は、他の地域よりも低くなります。

夏は暖かい南風が吹き、暑くなります。その暖かい空気が冷たい太平洋の海の上を渡る際に、空気が冷やされて霧が発生します。

海で発生した霧は、南風に乗って陸地へ流されます。このため、気象の世界では「移流霧(いりゅうぎり)」と呼ばれます。また、霧の影響で夏でも涼しい日が多くなります。

風向きによっては石狩や空知地方など日本海側にも流れ込みます。太平洋で発生した霧が苫小牧や千歳方面にかかる際、南東の風が吹くと札幌市内へ、南風が吹くと岩見沢など空知地方へ流れ込み、交通障害の発生することがあります。

霧と雲海のメカニズムから読み解く

「雲」も「霧」も空気中の水蒸気が細かい水滴となって浮かんでいる状態ですが、それが上空にあれば「雲」、地上付近にあり見通しが1キロメートル未満となる場合を「霧」と呼びます。

「霧」の室蘭(HBCウェザーセンター提供)

例えば、山頂が雲に覆われている場合、麓から見れば「雲」ですが、山頂にいる人にとっては「霧」となります。

道東の屈斜路湖や摩周湖、上川地方の占冠村のトマムなどでは、この霧を利用した「雲海観光」が有名です。低い雲や霧が盆地に溜まるとき、その様子を峠や山の上など高いところから見ると、雲海となって絶景をもたらします。

周りを山に囲まれた盆地は、冷たい空気が溜まりやすくなるため、その場の空気が冷やされて霧が発生することがありますが、太平洋からの霧(移流霧)が流れ込むこの時季の雲海は、ダイナミックに動く迫力のある霧が楽しめます。

ダイナミックな雲海が出現しやすい気象条件は、「北海道の東または南東海上に高気圧がある」ことです。高気圧付近は時計回りに風が吹くので、北海道付近では南風が吹いて太平洋で発生した霧が流れ込みやすくなります。

天気予報はもちろんですが、 予想天気図もぜひ見てみてください。また、霧は気温が下がる早朝に発生しやすいので、早い時間の見物がおすすめです。

ただ、雲海を見に行く際、道中には濃い霧がかかっている場合もあるため、車の運転は注意して下さいね。

※2023年6月13日の情報に基づきます。

<PROFILE>

文・イラスト: HBCウェザーセンター 気象予報士 児玉晃
「雲海」写真:PIXTA

HBCテレビ「今日ドキッ!」の番組内でも独特(?)なイラストを使って天気をお伝えしています。HBCウェザーセンターのインスタグラムも開設!予報士のゆる~い日常も見られますよ。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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