2023.05.28

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【悩み】31歳・未経験。好きな人に「セフレになろう」と言われた。どうしたらいい?【よく読まれた記事】

2023年3-4月にSitakkeに掲載したものの中から、アクセス数が多く、よく読まれている人気の記事をご紹介します。

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は〜い皆さん、ご機嫌よう!「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

読者からのお悩み:好きな人に「セフレになろう」と言われた。どうしたらいい?

あらあら大変。 改めて読んでみると、〆切ギリギリの確定申告レベルで深刻な案件だわこりゃ。
まずはみいさん、投稿してくださってありがとうございます!

にしても、なかなかこんがらがったお悩みだねぇ。
大事に思う人とどう向き合ったらいいかってだけじゃなくて、その根っこというか背景のところに、みいさんの自尊心の問題も横たわっているというか。
そしてそれが、「見た目」と「性」といった強めのトピックにまで、ぬるっと絡みついちゃっているというか。う〜ん、とってもシリアス!

まずですが、前半書いてくれている部分ね。自分に恋愛関係の自信がない改め、男性とロマンスにまで発展しないんだけどもって話。
これはね、個人的にめっちゃ共感する。なんせあたしも全く一緒の状況だから。←

そうなのよねぇ……なんかさぁ、年齢が関係あるのかはわからないんだけれど、例えば年下のかわいこちゃんとご飯行くってもしなったとしても「いやこっちが色々リードしてお店とか探してあげなきゃ」ってなっちゃうし。
相手がたとえ年上の方だったとしても「こちらだってそれなりに人生歩んできたんだし、もう大人なわけだから、相手の時間をいただく以上しっかりしないと」ってなっちゃうしね。

そんなテンションでいるとさ、たとえデートの最中というか当初そのつもりだったとしても、こっちは飲み会の「幹事」的な気持ちにもなってきちゃうわよね (身に覚えありすぎ)。
なんならあたし自身反省してみるとなんだけれど、きっと一緒してくれる相手からしても、なんか気が張っていてスキ無さそうというか、それこそ結局「姉貴」止まりの認識で終わっちゃってたんじゃないのかなぁ。
恋とかに発展しそうな感じというか、そういう気楽な雰囲気ゼロだなぁって思われちゃってたのかもしれません(あ違うわよ、もちろん、もともとそういう感じじゃなかったっていうパターンが腐るほどあることなんて、百も承知の上で書いてるわよッ(血涙))。

以前もこの連載のなかで紹介した、フランスの文豪スタンダールの著書 『恋愛論』
最初に世に出てから200年以上経つ作品ですが、これ読み返すとやっぱりすごくて、「恋が生まれるには希望がなきゃいけない」って書いてあるのよ。今風にざっくり言っちゃうと、“ワンチャン”ありそうな隙がなきゃいけないって話が載ってるわけ。

誤解してほしくないから言っておくと、この“ワンチャン”って、別にセックスできそうかどうかってことじゃなくていいのよ。
「あ、この人のこと自分、支えてあげたいかも」って思わせる空気っていうか、あたしの隣スペースあるよっていう、一種力を抜くことでのアピールというか。
きっとあたしとみいさんには、その「脱力感」が無いのかもしれないわ。

だからね。
スキンケアやアクセサリー、化粧に力を入れて「外見を磨」くことだったり、それを通じて「自分に自信を持」つことだったりは、恋愛と関係なくぜひ楽しんでやってほしいと思う(そして楽しくなければ、全然無理しなくていいと思うし、世の言う「かわいい」にならなくてもいいと思うのよ。ルッキズム(言い換えれば、モテと結びついた“見た目至上主義”)って世の中に溢れているけれど、それに踊らされることって時にしっかりしんどいし(「何色気付いてんだか」って気持ち抱いちゃうのは典型だと思うよ)、自分のルックスは自分の「好き」まみれにしちゃった方が、本人にとって何より嬉しいしね)。

だけど、こと恋愛については、あたしたちもしかしたら「甘え」だったり「抜け感」(?)だったりを身につけるというか、ある意味「自信」「自立」とは逆方向の何かを習得しなきゃいけないのかもしれないなって。
いやぁ……本当難しいわね、色事って……。

自分自身うまくいっているタイプの人間ではないから、はっきりしたことはなんとも言えないんだけれど。
みいさんは、もし今後誰かとご飯行くことがあったりしたら、あえて向こうに行き先を委ねてみるとか、リードを任せるとか、そんな風なところから力を抜く術を学んでみてはどうかなぁ。そして、あたし自身もそれ、実践してみようかしら。

とまぁ、こちらの相談文を読みながら、自らの恋愛まわりについても反省が絶えず出てきて、「なんだか人生ってままならないもんねぇ」と、ひとり勝手にため息をついたりもしていたのでした。笑

あたしなりのAnswer

さてさて、すでにいろんな話題に触れているけれど、肝心の本題と参りましょうか。
みいさんの現在の想い人と、その人からの 「セフレになろう」という申し出についてよね。

ちょっとびっくりさせたらごめんなさい。でも今回ははっきり言うわね。
これさぁ、あたし相手クソ野郎だと思うわ。

みいさんはきっと、しんどい気持ちがあっても今なお相手のことを憎からず想っているだろうから、「クソ野郎」なんて言われると「なんでそんなことを……」ってショック受けるかもしれないよね。
でもね、最低なものは最低。あたし投稿最初見た時「えぇ?!」って声出ちゃったもん。

だってまずさ、「結婚願望が全く無い」まではわかるとして、「だから付き合えない、セフレになろう」って、冷静に考えるとちょっと飛躍が過ぎない?
結婚につながらなくても「付き合う」って選択はできるはずでしょ?(なんならセックス無しで付き合っていくことだって、当人たちがよければ全然できるわよね)。

それにさ、「結婚する(の前提で付き合う)」か「セフレ」かっていう、相手が提示しているこの二択の発想、なんだか妻かセフレっていういずれかの関係性というよりは、どっちとのどんな「セックス」がしたいのかって前提が裏にある気がして、とっても気持ち悪いのよ。
性行為することしか頭にないというか。みいさんのことを性的にどう消費するかしか考えていないというか。

もし本当にみいさんのことを大切に思っているならば、その選択肢を出す前に「これからどうしていこうか?僕はこんな気持ちなんだけれども……」って話したりとか、そういう意見交換的なこと、「人対人」としてできたと思うんだよね。その上で、2人の未来を考えりゃよかった話なのに、突然「セフレになろう」って。ちょっとナンセンス。

しかもさ、みいさんが断ってからの相手の言動も、相当うすら寒いわよね。
「性的にフランクじゃないともう先がないぞ」って、いやそんなこと言うの、普通にセクハラっていうかほぼデートDVなんだけれども?!って思うし(「私のことを思ってのアドバイス」とは正反対の行動だわ)。
なんならそんな精神的暴力に1ヶ月も耐え続けたみいさんのことを考えると、「気持ち本当にしんどかったろうに……」と心配しかないわよ。まじ大丈夫?かなり傷ついてない?

唐突に、しかもちょっと小難しい文章になりますが、あたしは今回この相談に向き合っている最中、ドイツの哲学者イマヌエル•カントが『人倫の形而上学の基礎付け』の中で語ったこんな言葉を思い出さずにはいられませんでした。

「人間は物件ではなく、したがって単に手段としてのみ用いられるものではなく、あらゆる行為において常に目的自体として見られなければならない。」

私たちは、別のものの代償になったり、他人から道具として扱われるような「モノ•コト」ではありません。私たちは、人間です。だから、誰かの単なる駒かのように扱われる道理はないし、みいさんもその男性の性欲を満たす「手段」としてだけ扱われる筋合いはないんです。
どんなときも、何をするときも、常に相手の人となりや、その意志を尊重すること。人格を有する存在であることを認識し、その人の尊厳を損なわないよう振る舞うこと。「人対人」の関係性においては、それが前提として当然あるべきだし、その前提の無い状況は健全とは言えないのです。

だからね。
「セックスにフランクな気持ちを持っていないと彼氏はできないんですか?」……この送ってくれた質問にリプするとするならば、「そんなことはないし、それはむしろ今関わっている人に手段としていいように扱われて、その扱いに毒されているから、その人と早く距離を置いたほうがいい」というのが、あたしの答え。
「自分に自信を持って、大事にしたい男性と会う」ためにも、自分のことを大事にしてくれて、生き方や意志を尊重してくれているとはどの角度から考えても言えない人からは、辛いかもしれないけれどしっかり決別して、新しい素敵な出会いを探すことをオススメします。

でも、両想いになれた人と離れるって難しいことだし、実際行動に移すとなると、相当メンタル持ってかれるのよねぇ。
だからみいさんは、その人からサヨナラするためにもそうだし、次のロマンスを探すためにも、まずはおのれ自身をきちんと癒してあげてはどうかしら。
気晴らしにどこかに行くもよし、好きなものを食べてホッコリするもよし。そうやって、誰かに依らずともできるセルフケアを行うことで、自分のなかにちからをためていってほしいんです。

このケアの積み重ね、他人に依らない自信を育てることにも、一役買っていると思うのよね。
「誰にどう見られようと、もしくは見られていなくても、自分は自分」って感覚を手にできるというか。愛されようといなかろうと、ここに存在していていいんだって考えられるようになるというか。
そんな軸ができてくれば、もう大丈夫。
どこからいつやってくるかはわからないけれど、「この人だ」って出会いがみいさんのところに来た時に、臆さずに、かつ過度な入れ込みもせずに、しっかりとそのご縁を掴むことができると思うの。

今回のお相手さんは、その軸形成を促してくれたいい反面教師。
きちんとひとつのステップとして消化し、「悪いけど踏み台にさせてもらうわねん♪」ぐらいの感覚で、過去に置き去りにしちゃってはどうかしら。
あっかんべ〜!しちゃうぐらいのノリで全然いいと思うから。

みいさんもあたしも、まだまだロマンスを求める旅の途中。
お互いいい出会いができる日まで、これからもぬるぬるゆるゆる生き抜いちゃいましょ!
(素敵な人と出会ったらぜひ教えてねん。あたしもそんな報告、いつかできたらいいなぁ)

ま・と・め♡

てなわけで、今回は性と恋、そして自尊心と、様々な要素が複雑に結びついたお悩みと向き合わせていただきました。
「誰かと惹かれ合うこと」って、ときに人生まるごと関わるような一大事だから、総合芸術的な面白みもあれば、難しさもあったりするのよね〜。やぁ大変だわぁ。

読者の皆さんの中にも、これから新しいときめきに身を焦がす方も出てくるかもしれないわよね。その時には、どうか「手段としない、手段とされない」ってことを忘れずにいていただければと思います。
人の間の信頼も信用も、愛だって、尊重しあってこそようやく成立するものなのよね。

時に木枯らしが吹くことは人間関係の宿命みたいなもんだけれど、相手を大切に思い、大事な存在として接しようとする気持ちは、忘れずにいたいものです(自戒を込めて)。

どうかひとりでも多くの人に、素晴らしい邂逅がありますように。
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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