夜の世界で働く女性たち。
新型コロナで生活が追い込まれても、仕事柄「負い目がある」と、悩みを打ち明けられずにいました。
そんな女性たちを支援しながら、自らも性風俗店のスタッフとしても働く人がいます。
風俗、孤立妊婦、発達障害のグレーゾーン…
HBCでは、ある事件をきっかけに、「閉じ込められた女性」たちと、支援する人々の取材を重ねてきました。
取材をまとめたテレビドキュメンタリー「閉じ込められた女性たち 孤立出産とグレーゾーン」を、関東ローカルでは5月21日(日)深夜24時58分から、北海道ローカルでは5月28日(日)深夜25時28分から放送します。
北海道では、ラジオでも5月28日(日)深夜25時から放送します。
放送に先駆けて、取材の一部を記事でお伝えします。
札幌に住む、春田彩夏(はるた・あやか)さん。
NPO法人「風テラス(ふうテラス)」のスタッフです。
「風テラス」とは、夜の世界で働く女性たちに、法律相談や食糧支援などをおこなう団体。
対面だけでなく、メールや電話でも、相談を受け付けています。
春田さんは、「風テラスに相談に来られる方は、他の社会とのつながりがとても薄かったりする」と話します。
春田さんは3年前から、「風テラス」で、全国各地の夜の世界で働く女性たちの悩みに向き合ってきました。
この日は、風俗で働く女性たちの自助グループの、オンライン打ち合わせです。
共感して乗り切れることもあるという思いで、これまで、オンラインで「店での誹謗中傷」「依存症」などの悩みを語り合いました。
大学で「性風俗で働く女性の生活困難」に関する研究をしていた春田さん。
授業で、「夜の世界で働く女性の中で、困っている人たちも一部いるというところを知った」といいます。
「福祉の支援が届きにくい分野の人たちかなと思ったので、どうやって助けていくことができるか考えたいなと思いました」
春田さんは、支援する立場だけでなく、実際にススキノの店舗型性風俗店でスタッフとしても働いています。
お金の受け渡しや、部屋への案内を担当しています。
支援者でありながら、実際にその世界に身を置いているのは珍しい存在です。
「夜の世界のことを自分は研究しているけど、何も知らないなという風に思ったので」
その現場には、コロナの3年間で、異変が起きました。
濃厚接触と言われ、お客さんがつかず、生活が困窮する女性たち。
デートなどをすることでお金をもらう、いわゆる「パパ活」をきっかけに、新たにこの世界へと飛び込む女性も増えました。
しかし、「風俗の仕事を選ぶ理由はそれぞれ。だけど特別な人はいない」と、春田さんは話します。
「私たちと同じように普通に生きて、普通に暮らしている人が風俗店で働いている。なにか悩みごととか困りごとを抱えたときに、相談ができる環境が少ない。風俗で働いていることで役所につながりにくい・人に悩みを相談しにくいことはある」
実際に、性風俗店で働いていた女性にも話を聞きました。
「風俗で働いている」ことを、なかなか人に話せなかったといいます。
「負い目があったり、それは自分の責任じゃないのとつっぱねられるのが非常に怖いと感じる」
風テラスの活動も試行錯誤の毎日です。
スタッフの反省会でも、春田さんは気持ちを打ち明けます。
「不安なんです。これで合ってるのかなって」
それでも、春田さんは小さな声に耳を傾けます。
「ゆくゆくは風テラスのような、風俗だとか夜の世界で働く人々の相談ができる拠点というのを、できれば札幌に作れたらいいな」
悩みを抱えたひとたちが、あたりまえに悩みを話せる世の中のために、春田さんは、夜の世界に支援という光を照らし続けます。
・風俗、孤立妊婦、発達障害のグレーゾーンなど、悩みを打ち明けられずに「閉じ込められた」女性たちと、支援の現場を追いました
・テレビ/関東ローカル:TBSドキュメンタリー解放区で5月21日(日)深夜24時58分〜25時58分
・テレビ/北海道ローカル:5月28日(日)深夜25時28分~26時28分
・ラジオ/北海道道内ローカル:5月28日(日)深夜25時~25時半
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
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