山村さわこ/サロン・エラール代表・フルート講師

西部地区・弥生坂を上ったところに『サロン・エラール』はある。代表は山村さわこさん。ここでは、山村さんが講師を務めるフルートのレッスンや、さまざまな演奏会が開かれる。先月には英国のピアニスト、ベンジャミン・フリスが聖マリア教会でのリサイタルの翌日に子ども向けコンサートを開催したばかりだ。

山村さわこさん。自身のフルートはフルート奏者・マルセル・モイーズの1932年モデル。山村さんはこの演奏家にも深く惹かれ『マルセル・モイーズ研究室』というサイト運営の助手も務める。

サロン・エラールの名は、ここに置かれた『エラールピアノ』に由来する。1918年製、フランス生まれの平行弦ピアノ。長い時を経て、国を超え海を越え、山村さんのもとにやってきた。なおこのピアノは、フランス・トリアノン宮に今も残る、かつてマリー・アントワネットが所有した楽器のデザインが取り入れられているため『モデルトリアノン』とも呼ばれるもの。発注者にある「ブルム氏」とは、かつてフランス大統領を務めたレオン・ブルム氏と推測されるという。

イギリスから海を渡ってきたエラールピアノ。「コンディションが非常に良く、弦もハンマーも製作当時のものをそのまま使っています」。なお、平行弦ピアノは弦が平行に張られていることで響きがクリア、繊細で美しい音色を奏でるという。

「ピアノは、フルートほど得意ではない」と語る山村さん。では、そんな彼女と、小さな文化遺産とも呼ばれる貴重なピアノを結びつけたのは何か。それは山村さんの音楽人生の中で、彼女の心に深く届いた古い楽器の音色だ。大学時代に耳にしたフランス生まれのオールドフルートの響きに感銘を受け、以来、その世界への造詣を深めていく。ちなみに山村さんが惹かれるのは、20世紀前半頃のヴィンテージ楽器。古い音源を聴くうち、ピアノの音色にも惹かれ、そうして数々のタイミングが重なりあって、2017年、彼女の元にエラールピアノが届く。

道立釧路芸術館でのギャラリーコンサートの一コマ。なお、山村さんは兵庫県出身で道教大釧路校卒。2016年より函館へ。

「音楽を好きな方々に直に触れてほしいという思いからサロンを開きました。おかげさまで、遠方から足を運ばれる方もいらっしゃいます。また、フルートのほうでは、最近webサイトをリニューアルしました。古い楽器に触れ当時に思いを馳せるのはまるで旅のようだと感じ『voyage avec flûte 〜フルートと旅をしよう〜』をテーマにしています。この魅力をたくさんの方に届けていきたいですね」

【サロン・エラール】

函館市船見町8
sawako-flute.com
salon-erard.com

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