新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。HBCテレビ「今日ドキッ!」のコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」 では、北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探ります。
今回取り上げるのは、小樽水族館と同じタイミングで創業した「青塚食堂」。
お店の場所は小樽水族館から徒歩3分。
今年で創業65年の老舗「青塚食堂」です。
住所:小樽市祝津3丁目210
電話:0134-22-8034
営業時間:午前10時~午後7時
平日にも関わらずお昼時の店内はお客さんでいっぱいです!
食堂を取り仕切るのは常連客から、「お母さん」と呼ばれる、本間準子さん。
親子3代にわたって小樽で漁業を営む青塚家の娘さんです。
名物の特大ニシン焼きをその日の風の向きや火の強さを見ながら50年以上焼き続けています。
炭火でじっくり火を通し、皮は香ばしく、身はふっくら。
素材そのままの味を生かすため調味料は塩すら使いません。
長さ30センチ以上はある特大ニシン焼きの定食が人気です。
脂のこうばしい香りと上品でふっくらとした身。
お正月の高級食材、数の子の元となる卵もぎっしりです。
社長は本間さんの兄、青塚忍さん。
父は漁師で夏場は仕事がなかったため、家計が大変だったそう。
その際、親の代でお店を開店させました。
食堂を開いたのは昭和33年。
この年は北海道大博覧会が開催され、祝津も会場のひとつでした。
そのときにできたパビリオンが、のちの小樽水族館になります。
当時は、ニシン御殿が建っているふもとに水族館がありました。
青塚食堂は、観光客をターゲットにして、入口のすぐそばで営業をスタートさせました!
北海道のニシンの漁獲量です。
日本海側では、桁違いの豊漁が続き最も多い年で、漁獲量はおよそ97万トン。
その後、漁獲量は激減し、ニシン漁は衰退し幻の魚となってしまいました。
当時、お店では前浜で獲れたニシンをほとんど使うことができませんでした。
船酔いしやすく、漁師になりたくなかった青塚さんは、家業を継がず、小樽市の職員になりました。
配属された水産課では道が主導する「ニシンの放流事業」にも携わることに。
ニシンは放流しても成魚になるまで、およそ4年もかかります。
毎年、稚魚の放流を繰り返しても不漁は続きました。
しかしその後、驚きの光景を目撃することに!
2009年、近くの海岸に行ってみると、ニシンの卵と精子で海岸が乳白色に染まる「群来」(くき)の光景が。
豊漁の前兆です。
それ以降、毎年道内各地で群来が確認されニシンの漁獲量も増えています。
稚魚放流の他にも、漁業者が網の目を大きくして、小さいニシンを取らないようにしたことも資源の増加につながったと考えられています。
漁がある期間は地元産のニシンをお店で出せるようになり、看板メニューとしてより一層、お客さんを喜ばせました。
社長の青塚さんの母の教えは、とにかく「お客さんに喜んでもらう」こと。
一方、準子さんは、飾らない自然体で「ありのままでやっている」と笑います。
「お客さんに喜んでもらいたい」という気持ち、そして「飾らない姿勢」で愛され続けるお店を目指しています。
※掲載の内容は番組放送時(2023年4月12日)の情報に基づきます。