2023.05.17

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「自分の機嫌は自分でとる」最近よく聞くこの言葉、どう実践すればいいの?

「自分の機嫌は自分でとる」という言葉。最近よく見かけますが、どういうことでしょう? この言葉を聞いて楽になる人はいいのですが、時にこの言葉で追い詰められる方もいるように思います。
今日は公認心理師の筆者がこの言葉の意味を考えつつ、自分の心との向き合い方、心地よく生きるための考え方についてお伝えします。

機嫌がとれないとダメなわけではない

「自分の機嫌を自分でとることが当たり前なんだろうに、それができない自分はダメみたい……」そんな風に話される方にお会いすることがあります。「自分の機嫌は自分でとる」という気持ちは悪いことではないのですが、この言葉がどんどん広まる中で、「そうすべきだ」と思いながらもできない自分を責める方も。
でも、人の気持ちは複雑なもの。頭で「こうすべき」と思ってもできない方が人間らしく、自然です。なかなかうまく自分の気持ちをコントロールできないことがあって当然です。「機嫌がとれない自分がダメだ」と責めることはやめましょう。

人に頼るという手段を主体的に選ぶ

自分の機嫌を自分でとるということは、人に頼ることを禁じているわけではありません。自分以外の誰かに助けを求めることも大事なことです。それは決して自分の機嫌を他人にとらせているのではないのです。自分がその人の助けが必要だと気づき、主体的に、積極的に人に頼る方法を選択するのは、自分自身で自分の機嫌をとる方法を知っていることに他なりません。「いつも誰かに助けてもらっているのは自分が弱く、甘えているからだ」と責めるのではなく、自分にとって必要なことをきちんと考え、手に入れることができる自分を褒めましょう。

機嫌をとるためには不機嫌の正体を知る

人に頼るという解決策を選ぶにしても、まずは自分の状態がわかっていないと対処方法が見つけられません。自分が不機嫌になっている背景をよく考えてみましょう。そして、その時の自分が欲していることを自分に与えるようにしてみましょう。空腹を自覚しなければ、人は食べることをしないでしょう。不快な状況が何によって引き起こされているのかを考えて、その解決策を探すことが必要なのです。
大きなストレスよりも、毎日の小さなストレスの方がやっかいなこともあります。当たり前の日常の中であなた自身がどういうところにストレスを感じるのか、精神的に疲れるのかを把握しましょう。ストレスを感じることをしてはいけないわけではありません。ただ、自分にとってのストレス度合いを的確に把握して、そのストレス度合いに見合ったセルフケア をしましょう。

具体的に何をすれば機嫌よく過ごせる?

では具体的に何をすればいいのか。それは、何でもいいのです。その時のあなたが「したい」と思ったことが、その時のあなたにとって必要なことです。「元気になるためにした方がいい、しなければ」と思っていることはケアにはなりません。“したい”のか“すべき”なのかを見極めて、“したい”を優先させることがケアにつながります。「何もしたくない」も立派な“したい”です。そういう時はきちんと“何もしない”状況を自分に与えましょう。そして何もしなかったことに罪悪感を持たないように気を付けましょう。それは、目に見えた活動ではなくてもきちんとあなたの心の充電につながっているはずで、それこそ何もしない状況をつくることこそが“自分の機嫌をとるために必要”なのです。

不機嫌に支配される時間を減らす

「何をしていても、嫌なことを考えてしまう」これはよくあることです。「考えないようにしようと思っても、うまく切り替えができない……」これはとても辛いことですね。そういう時は“何も考えないようにする”のではなくて、“何か別のことを考えてみて”ください。ちょっとだけ一生懸命、別のことを考える。少し難しい推理小説を読む、複雑な設定の映画を観るなどもいいと思います。そうすることで嫌なことを考える余力がなくなり、結果として、嫌な気持ちに支配される時間が減ります。そうすると、精神的なエネルギーが充電され、機嫌よく過ごせる時間が増えると思います。

不機嫌でもよい

ここまで、機嫌よく過ごせるための方法について書いてきましたが、不機嫌な時があってもいいじゃないかと私は思っています。不機嫌さ、感情を駄々洩れにするのはよくありません。社会生活を営む上で、ある程度コントロールはしなくてはいけません。でも「不機嫌になってはいけない」と思ってしまうのは、ちょっと厳しすぎるような気がします。「今日の私はちょっと不機嫌なんだな、だからちょっと口調がきつくなるかもしれないから気を付けよう」と思うことはいいと思います。でも「不機嫌になっちゃいけない」と思う必要はないと思います。感情は自然とわいてくるものですから、不機嫌な気持ちだってあなたの気持ちの一つです。強く否定しすぎる必要はないと思います。どういう感情もあなたの一部です。不機嫌な感情も受け止めてみて。その方が否定してしまうよりもずっと健康的に、機嫌のよい状態を保つことにつながっていくと思います。

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文:竹原久美子(公認心理師/婦人科クリニック勤務)
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【ライター:竹原久美子 PROFILE】
中学時代、寄り添ってくれる人の大切さを感じ、心に寄り添う仕事につくことを決める。
「人生の始まる現場で学びたい」と産婦人科での実習を希望し、そのまま、産婦人科で女性の心に寄り添い続けてもうすぐ20年。
土地柄を肌で知っていることは心の理解にも役立つという想いで、地元札幌で臨床に携わり続けている。

【画像】shimi、ほんかお、oksix、よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA(ピクスタ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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