「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、
毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。
今年3月の北海道は記録的な暖かさで、札幌は3月20日に「積雪ゼロ」になるなど平年よりかなり早く雪どけが進みました。なぜこんなに暖かくなったのか、その原因に迫ります。
今年は春が駆け足…というより今までにないほどの猛ダッシュでやってきています。
平年の3月の北海道は、雪どけシーズンとはいえ、まだまだ低気圧や寒気の影響を受けて雪が降り、低気圧が北海道の南を通る(南岸低気圧)と太平洋側でドカ雪になることもあります。
1970年の3月16日は、帯広で一日に102センチの雪が降ったとこもありました。(3月の北海道の日降雪量の記録)ただ、今年は雪らしい雪がほとんど降らず、北海道全体の3月の降雪量は平年の23%にとどまり、2008年と並んで最も少なくなりました。
平年の3月の最高気温は、下旬でも5度くらいで、まだまだ厚手の上着が欠かせません。ただ、今年は10度を超える地点が続出し、特に22日~23日にかけては各地で3月の最高気温の記録を更新しました。札幌でも22日に19.1度を観測し、3月1位の記録を塗り替えました。3月なのに汗ばむくらいの陽気で、上着を手に持って歩く人の姿も見られました。
北海道全体の3月の平均気温は平年より3.5度高く、統計史上一番高くなりました。
①北からの寒気の流れ込みが弱かった
このため、南からの暖かい空気に覆われやすくなりました。
②高気圧の勢力が強かった
晴れる日が多く、日ざしによって暖められました。また、このため雨や雪の降る日が少なくなりました。
③高気圧が北海道の東や南に位置していた
高気圧から吹き出す南風(暖気)の影響でグングン気温が上がりました。
理由としては、これらが考えられます。
そして、最新の1か月予報(4月8日~5月7日)でもこの状態が続く見通しです。サクラの開花(札幌の平年5月1日)も記録的に早くなるかもしれませんね。
地球温暖化などの影響で、近年は春が早くやってくる傾向にあります。札幌のサクラの開花は2014年から2022年まで9年連続で4月中に観測され、北海道の春(3~5月)の平均気温は、去年まで8年連続で平年より1度前後高くなっています。
このまま地球温暖化が進むと、3月頃は急速に雪どけが進んで、川の氾濫など融雪災害が多くなったり、大型連休が始まる前に各地でサクラの見ごろが終わったりすることが当たり前になるかもしれません。
地球温暖化を防ぐためには、エネルギー消費による二酸化炭素(CO2)の排出を抑えることが大切です。
そのための身近なエネルギーの節約法として「気温を知る」ことが大切です。特に季節の変わり目のこの時季は、予想気温にも注目して服装を選ぶことで、暖房の使い過ぎなどを防ぐことができます。これからもしっかり天気予報をチェックして下さいね。
※2023年4月7日時点での情報です。
***
文・イラスト: HBCウェザーセンター 気象予報士 児玉晃
児玉晃予報士が所属する気象予報士クリエイター集団「サキドリーズ」が運用するYouTubeチャンネルてんきよほうでは、日本全国の天気や季節の話題をわかりやすくお伝えしています。