自家焙煎コーヒー店のトカプコーヒー(中札内村、木村務代表)は、十勝ワインの使用済みたるでコーヒー豆を熟成させる「バレルエイジドコーヒー」を製造する。同店によると、ワインだるで熟成させたコーヒー製造は国内で珍しい。関係者は、十勝ブランドを打ち出した新たな商品作りに期待を寄せている。
日本では、ウイスキーだるで熟成させたコーヒー豆の販売は一部であるが、ワインだるでの熟成は事例が少ないという。木村代表(帯広市出身)が半年ほど前から、十勝ワインを製造する池田町ブドウ・ブドウ酒研究所とワインだるでコーヒー豆の熟成ができないかを協議してきた中で生まれたプロジェクト。地元のワインメーカーのたるを使うことで「コーヒーに十勝らしさを持たせられるのでは」(木村代表)との思いから始まった。
ワインだるは、500リットルで、同研究所の赤ワイン品種・清見の醸造で使われたフレンチオークを使用。ワインだるとして8年間使った後、たるの更新に伴い、同店が引き取った。
コーヒー豆は個性の抑えられたグアテマラ産を使うことで、たるからワインの香りや味わいを移す。熟成中のたるは、音更町の道の駅ガーデンスパ十勝川温泉の施設内で展示。木村代表が週1回程度、手作業でたるの中の豆をかき混ぜ、状態を見ながら30~60日ほどたる内で熟成させる。初回の製造は3月上旬に始め、コーヒー豆30キロほどを予定する。
同研究所によると、使用済みのワインだるは、他社のウイスキー醸造やインテリアなどとして活用事例があるが、コーヒーの熟成用として引き渡した例はない。南邦治製造課長は「われわれのワインがどういう形で表現されるか、完成が楽しみ」、木村代表は「自分自身初の挑戦。コーヒー豆の袋を開けたときに赤ワインの風味がし、ブドウの味わいがするのではと期待している」と話している。
完成したコーヒー豆は今年のゴールデンウイークごろから、同店やワイン城1階、道の駅ガーデンスパ十勝川温泉で販売する予定。