2023.02.27

食べる

【帯広】チロリン村にカツが来た 満腹を提供する店「カケル」|ぼくの新店めぐり

戦後まもなくの1953年に創業し、「チロリン村」の愛称で親しまれてきた栄マーケット(帯広市東1南9)に昨年11月、昼は食事処、夜はバーとして営業する店「レストラン&バーKakeru(カケル)」がオープンした。

店主の加藤翔さん(37)は「おなかいっぱい食べてほしい」の思い一心にこの店を開いた。

東1条通り側の左手前の店がカケルだ

ボリュームたっぷり「チキンカツ」

カウンター6席のこぢんまりとした店を訪ねると、ややこわもてで体格の良い店主が笑顔で迎えた。内装はバーそのものだが、ランチのメニューはチキンカツ、とんかつ、しょうが焼きなど定食屋のラインアップだ。

店イチオシのメニューは「チキンカツ」。200グラムのカツに、ご飯、みそ汁、サラダがついて900円。「ご飯とみそ汁はおかわり無料です」と明るい声が響く。揚げ方にはこだわりがあり、「生パン粉を使って、熱が通り過ぎないように揚げている」と加藤さん。余熱を使ってやわらかく仕上げるのがポイントだという。

店イチオシの「チキンカツ」(900円)

高校時代から描いた飲食経営

加藤さんは父が飲食店を営んでいたことから、「将来は自分も店を」との思いを抱き、高校時代から飲食店でアルバイトを始めた。一時、他の仕事をしたこともあったが、この20年間のほとんど飲食に関わってきた。

和・洋・中すべての店を経験し、マーケティングを学ぶためフランチャイズの居酒屋にも数年勤めた。店を開く前の3年間は市内の居酒屋で料理長として腕を振るった。客が釣り上げた魚を調理することもあったというその居酒屋で、客の声に耳を傾けながらさまざまな料理に挑戦したという。

そして昨年、猛威を振るっていた新型コロナウイルスからの回復の兆しが見え始めたことから開店を決意。当初は大きめの店舗を考えていたが「まずは認知度を上げてから」と、チロリン村の一角を借りた。こぢんまりとした店には「アットホームな空間でゆっくりしてほしい」との思いもある。DIYなどで内装を一新し、要望があれば用意するという宴会スペース(10人まで)も設けた。

店内はカウンター6席のバー仕様

おなかいっぱい食べてほしくて

店で提供するメニューはボリュームたっぷりの品ばかりだ。「初見でぎょっとするお客さんを見るのも楽しみ」と加藤さん。しかし「揚げ方がポイント」と言うチキンカツは意外にもヘルシーで、200グラムながら「あっさりしていて食べやすく、おかわりする人も多い」と話す。

昼時にやってきたサラリーマンからは「お昼も仕事なのにこんなに食べちゃったよ」と冗談交じりに言われることもあるが、満足そうな表情で言ってくれることに喜びを感じている。

店はオープンからほとんど告知してこなかったため人はまばらで、知り合いの来店が多いと言うが、「テークアウトもやっているし、弁当や宅配も考えている」とし、小さな店舗ながら多方面に手を伸ばしていく考えだ。

「量の割にはかなり低価格にしているから正直もうけは少ないけど、おなかいっぱい食べて『おいしい』と言ってほしいから」と満面の笑みを浮かべた。

厨房(ちゅうぼう)に立つ加藤さん

<加藤翔(かとう・しょう)>
1986年帯広市生まれ。帯広小、帯三中、緑陽高校卒。飲食店を中心に和・洋・中すべての店を経験し、昨年11月に店をオープン。おなかいっぱい食べた客に「おいしかった」と言ってもらうことが生きがいの37歳。

<レストラン&バーKakeru(カケル)>
帯広市東1南9丁目(チロリン村)、11時~14時、19時~LAST(夜はカラオケあり)、日曜、祝日定休(土曜ランチ休み)、電話080・3235・8734。店の名前は鶏の古語である「カケ」と自らの名前の別読みをかけた。

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連載 「ぼくの新店めぐり
十勝毎日新聞の記者が十勝の新店をめぐって、オーナーにもスポットを当てつつご紹介

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