多様な性のあり方が注目される中、あるカップルを主人公にした映画が公開されました。
演じる難しさや、撮影現場の工夫について、主演の鈴木亮平さんに話を聞きました。
去年9月、開かれた「サッポロレインボープライド」。
性的マイノリティへの差別解消などを目指すこのイベントに、俳優の鈴木亮平さんも訪れていました。
当事者たちの胸の内を、肌で感じたいという思いからでした。
2月10日から公開している映画、「エゴイスト」。
ゲイである原作者の自伝小説を映画にしたもので、鈴木さんは主演をつとめました。
鈴木さんは、役作りに悩んだといいます。
「ゲイであるということに対して、ステレオタイプな表現にならないか。例えばそれがリアリティであったとしても、それを作品とすることで、偏見を助長する形になりはしないかというところを、『LGBTQ監修』の方と話しながらみんなで作っていった」
鈴木さんのヘアメイクを担当する、ミヤタ廉さん。
ゲイの当事者の立場から、「LGBTQ監修」として撮影に携わりました。
撮影中の様子です。
パートナーとのシーンで、こまかく動きを確認しています。
ミヤタさんは、「所作であったり言葉遣いだったり、どういった場面でどれぐらい出すのか。パートナーを持つ人たちにも何名か集まってもらって、出会いがどんな感じだったのか、どんなことでケンカするのか、実家に帰ったときにどういう思いでいるのか、多方面に鈴木さんも取材していた」と話します。
役作りのための当事者への取材のセッティングや、ゲイの親友役のキャスティングも担当しました。
ミヤタさんは、「なるべく誤解がないように伝えていく。観た側が今まで何でもなく思っていたことが、こういうことだったのかと、ストーリーを通して理解していく方法も、1つの声の上げ方かな」と話していました。
当事者がスタッフとして入り、現場で生じた「疑問」や「違和感」を摘んでいく。
この環境がベースとなり、当事者たちの日常の姿を自然に表現できたと、鈴木さんも感じています。
「自分も含め社会の意識というものは変えていく必要がある。教育だったり、エンターテイメントなり、メディアでの描き方は、もう変化していかなきゃいけないなと」
インタビューを担当した泉優紀子記者は、Sitakkeで、こころが男性どうしのふうふと、2人の間に宿った新しい命を見つめる連載「忘れないよ、ありがとう」を執筆するなど、性の多様性にまつわる取材・発信を続けてきました。
インタビューの全編は、HBCニュースのYoutubeでも公開しています。
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映画の中で、鈴木さんが演じた主人公・浩輔の友人役は、ゲイ当事者のドリアン•ロロブリジーダさんがつとめました。
Sitakkeでお悩み相談コラムを連載中の満島てる子さんも、ゲイ当事者として、鈴木さんとドリアンさんのお2人にお話を聞きました。
⇒【『エゴイスト』の出演者にゲイ当事者がインタビューをして知ったこと—「クィア映画の“これから”を作りたい」】
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は放送時(2023年2月9日)の情報に基づきます。
■こころが男性どうしのふうふと、2人の間に宿った新しい命を見つめる連載「忘れないよ、ありがとう」
■トランスジェンダーの息子と、その母親が、交代で心の中を語る連載「親の心、子知らず。子の心、親知らず」。
■オープンリーゲイの女装子・満島てる子さんが読者のお悩みに答える連載「てる子のお悩み相談ルーム]