2015(平成27)年夏、函館駅前・大門通りの象徴だったアーケードが全面撤去されたとき、そう思った人は多いと思う。あれから6年が経ち、末広町・十字街に残る古い商店街の一角に架けられたアーケードは、辛うじてその姿をとどめている。
1954(昭和29)年に一部で設置が開始された大門通りに遅れること5年後の1959(昭和34)年から、末広町の5・7・8番地を中心に、その区画を取り囲むように大規模なアーケードが設置された。
その頃、明治から昭和初期まで隆盛を誇った十字街は袞退しはじめ、この事業は商業地区としての再生をはかる一策でもあった。しかし時を重ねるごとに維持費がかさみ、さらに毎冬の大雪による損壊が重なり、徐々に撤去・縮小されていった。
わずか数十メートル規模となった現在の通りだが、ここにきて活発な動きが出てきた。今年4月以降、新鮮な魚介類と酒が売りの料理店や、電動バイクで西部地区をめぐるツアーを提供するショップが立て続けに開業。
6月にはカフェスペースを併設したコーヒー豆専門店、7月にはスパイスカレー専門店のオープンを控えている。アーケードの老朽化は刻一刻と進んでいる。いつかはなくなる日がくるかもしれない。だが、決して今ではない。
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