2022.12.22

暮らす

世界有数の豪雪地帯!さっぽろはどうして雪が多いの?【気象予報士が解説】

「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、毎日の生活に役立つ、お天気情報の“見方”を気象予報士がお伝えします。

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札幌で1シーズンに降る平年の雪の量は479センチ。
実は、札幌のように200万人近い大都市でここまで多く雪が降るのは、世界的に見ても稀ということを知っていましたか?

札幌は、どうして「雪が多い」のか。今回はこのテーマについてお話をします。

世界有数の豪雪地帯!札幌の雪が多いわけ

ずばり、それは日本海の存在が大きく関係しています。

北極から寒気が流れ込むと、日本を除く、ほとんどの大陸では「雪雲のもと」となる「水分」が少ないため、ただただ寒くなります。

一方、日本の場合は、大陸でキンキンに冷やされ、カラカラに乾いた空気が北風によって運ばれ、必ず日本海を通ります。日本海で「雪雲のもと」の「水分」が供給され、雪雲が作られるのです。

日本海の海水温は、真冬の北海道沿岸で5℃くらいです。
かなり冷たいですが、大陸のマイナス何十℃まで冷やされた空気と比べると暖かいですね。
相対的に暖かい海の上に冷たい空気が流れ込み、雲が発生し、その雲によって、雪をもたらされます。

札幌は海に面していませんが、すぐ北にある石狩湾から雪雲が流れ込み、雪の量が多くなります。
豪雪地帯となる日本海側の地域で、札幌のような大都市は世界的にみてもほとんどないのです。

札幌と緯度が近いニューヨークや、札幌より北に位置するロンドンの1シーズンの降雪量はともに50センチくらい。カナダのモントリオールでも200センチくらいです。

こちらの表を見ても一目瞭然。降雪量が400センチを超える札幌は、世界でも類を見ない「雪が多い街」と言えるのです。

この雲の発生と似た現象は、お風呂場でも体感できます。

入浴中に窓を開けると、外の冷たい空気が入ってきた途端に湯船から湯気が立ち昇り、お風呂場は真っ白に・・・この原理と同じなのです。

暖かい空気は密度が小さいため軽く、冷たい空気は密度が大きいため重くなります。そのために暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動しようとします。これを「対流」と言います。

温度差が大きいほど対流は活発になるため、上空の寒気が強いほど、水蒸気を含んだ海面付近の空気がどんどん上昇し、その空気が上空で冷やされることで次々に雲が発生します。その雲が日本に流れ込んで来ると、日本列島にある山にぶつかり、日本海側に大雪をもたらすのです。

これまでの雪雲発生のメカニズムは「冬型の気圧配置」で北からの季節風が強まる場合ですが、近年では冬型の気圧配置が長続きせず、「低気圧」による大雪が増えています。

低気圧付近では雪雲が発達するため、短時間で局地的なドカ雪(大雪)になることがあります。
(昨シーズンの札幌もこれで記録的な大雪になりました)

また、低気圧は場所を選ばず発生・通過するので、普段雪の少ない太平洋側でも大雪になるおそれがあります。

この冬も、北海道付近は低気圧の影響を受けやすくなる予想で、極端な雪の降り方に注意が必要です。

毎日の天気も欠かさず確認して下さいね。

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文・イラスト:気象予報士 児玉晃

児玉晃予報士が所属する気象予報士クリエイター集団「サキドリーズ」が運用するYouTubeチャンネルてんきよほうでは、日本全国の天気や季節の話題をわかりやすくお伝えしています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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