「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、毎日の生活に役立つ、お天気情報の“見方”を気象予報士がお伝えします。
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札幌で1シーズンに降る平年の雪の量は479センチ。
実は、札幌のように200万人近い大都市でここまで多く雪が降るのは、世界的に見ても稀ということを知っていましたか?
札幌は、どうして「雪が多い」のか。今回はこのテーマについてお話をします。
ずばり、それは日本海の存在が大きく関係しています。
北極から寒気が流れ込むと、日本を除く、ほとんどの大陸では「雪雲のもと」となる「水分」が少ないため、ただただ寒くなります。
一方、日本の場合は、大陸でキンキンに冷やされ、カラカラに乾いた空気が北風によって運ばれ、必ず日本海を通ります。日本海で「雪雲のもと」の「水分」が供給され、雪雲が作られるのです。
日本海の海水温は、真冬の北海道沿岸で5℃くらいです。
かなり冷たいですが、大陸のマイナス何十℃まで冷やされた空気と比べると暖かいですね。
相対的に暖かい海の上に冷たい空気が流れ込み、雲が発生し、その雲によって、雪をもたらされます。
札幌は海に面していませんが、すぐ北にある石狩湾から雪雲が流れ込み、雪の量が多くなります。
豪雪地帯となる日本海側の地域で、札幌のような大都市は世界的にみてもほとんどないのです。
札幌と緯度が近いニューヨークや、札幌より北に位置するロンドンの1シーズンの降雪量はともに50センチくらい。カナダのモントリオールでも200センチくらいです。
こちらの表を見ても一目瞭然。降雪量が400センチを超える札幌は、世界でも類を見ない「雪が多い街」と言えるのです。
この雲の発生と似た現象は、お風呂場でも体感できます。
入浴中に窓を開けると、外の冷たい空気が入ってきた途端に湯船から湯気が立ち昇り、お風呂場は真っ白に・・・この原理と同じなのです。
暖かい空気は密度が小さいため軽く、冷たい空気は密度が大きいため重くなります。そのために暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動しようとします。これを「対流」と言います。
温度差が大きいほど対流は活発になるため、上空の寒気が強いほど、水蒸気を含んだ海面付近の空気がどんどん上昇し、その空気が上空で冷やされることで次々に雲が発生します。その雲が日本に流れ込んで来ると、日本列島にある山にぶつかり、日本海側に大雪をもたらすのです。
これまでの雪雲発生のメカニズムは「冬型の気圧配置」で北からの季節風が強まる場合ですが、近年では冬型の気圧配置が長続きせず、「低気圧」による大雪が増えています。
低気圧付近では雪雲が発達するため、短時間で局地的なドカ雪(大雪)になることがあります。
(昨シーズンの札幌もこれで記録的な大雪になりました)
また、低気圧は場所を選ばず発生・通過するので、普段雪の少ない太平洋側でも大雪になるおそれがあります。
この冬も、北海道付近は低気圧の影響を受けやすくなる予想で、極端な雪の降り方に注意が必要です。
毎日の天気も欠かさず確認して下さいね。
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文・イラスト:気象予報士 児玉晃
児玉晃予報士が所属する気象予報士クリエイター集団「サキドリーズ」が運用するYouTubeチャンネルてんきよほうでは、日本全国の天気や季節の話題をわかりやすくお伝えしています。
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