釧路市の隣に位置する白糠町。海と森の自然がもたらす豊富な食材が自慢のマチ。
ここに、地元の生乳にこだわり、質の高いイタリアの伝統的な製法によってつくられた逸品があります。その逸品とは、チーズ工房・酪恵舎(らくけいしゃ)のチーズ「トーマ・シラヌカ」。
北海道における「乳製品の食文化をさらに発展させたい」という想いを込めてつくられたという、チーズ。
今回は、「トーマ・シラヌカ」へ込めた想いとそのこだわりについて、酪恵舎代表で、北海道が主催する人材育成塾「フード塾」出身の井ノ口(いのくち)さんにお話を聞きました。
井ノ口さんは、「酪農王国でありながら、乳製品の食文化が北海道にはないんじゃないか」と思ったことが、白糠町でのチーズ作りのきっかけだと振り返ります。乳製品を使った、北海道の“郷土料理”を作るためのチーズを作るべく、地元・白糠町の酪農家14戸と有志が集まり、2001年に酪恵舎を設立しました。
「チーズ料理といえばほとんどイタリア料理ですよね。ピザ、パスタ、リゾット、カルパッチョとか、イタリアのチーズがいいんだなと思って」。井ノ口さんはイタリアへ渡り、ミルクの風味をより感じることのできる伝統的なイタリアのチーズ製法を学びました。
「作っているチーズは16種類くらい。僕らはどちらかというと食べるシーンを想定して提案しています。水分が多くミルキーで塩分が少ないのは朝食に、水分が少なく塩味やうま味が強いのは夕食やお酒に合いますよというように」
朝食向けチーズを実食。ひとかみすると水分がじゅわーっと口いっぱいに広がります。それは完全にミルク!豊潤な牛乳の味わいです。
夕食やお酒に合うというチーズは塩気がしっかり。井ノ口さんは、「キノコと相性抜群なので、キノコのパスタやリゾットなどにたっぷりかけていただくのがいいかと思います」
そうしたチーズの中でも2014年、一流シェフやカリスマバイヤーなど「食」の第一人者が選ぶ道産食品のトップランナー「北のハイグレード食品」を受賞したチーズがあります。それが「トーマ・シラヌカ」。一段と口どけがよく、ミルクの優しい味わいが感じられるセミハードタイプのチーズです。
チーズ作りは朝6時から始まります。まずはミルクを加熱殺菌。急な温度の上昇でミルクに傷がつかないように職人は温度計から目をはなしません。
その後、前日の乳清(ホエー)を投入。これにより柔らかく滑らかな食感が生まれるそうです。
凝固剤を投入するとミルクはゆっくりと固まってカードと呼ばれる状態になります。井ノ口さんのOKが出ると、スタッフ全員でこれを切り、水分を抜きながら型につめていきます。
一般的なチーズに比べて熟成期間は短く、およそ1か月。こうした職人の徹底した管理のもとで、ミルクの優しい味わいが感じられる極上のトーマ・シラヌカが仕上がります。
トーマ・シラヌカの楽しみ方を、地元で人気のレストラン「はまなす」で教えてもらいました。このお店では、酪恵舎のチーズを使ったおよそ10種類のチーズ料理を提供しています。
「料理との相性は抜群」というシェフが、ズッキーニや玉ねぎなどの野菜をトマト缶で煮た「冷製ラタトゥユ」に、厚切りにしたトーマ・シラヌカを乗せて出してくれました。
ミルキーなチーズの特徴がしっかりと感じられつつも、酸味のあるトマトソースと合ってソースがまろやかに!シェフは、「溶かしてしまうと全体的にミルキーになってしまいますが、こうすると個々の素材の味も一緒に楽しませてくれます」
また、薄くスライスしたトーマ・シラヌカをバゲットに乗せ250度で加熱すること約1分。熱を加えることでひと味違った味わいが!トーストするとほどよい塩味も感じられます。「溶かすといい特徴が出てくるのでラクレットのベースにもなりますね」(シェフ)
今もなお進化を追い求める井ノ口さんにとって、最高のチーズとは?「食べたときにミルクを感じて、知らない間に笑顔になるチーズ。後ろからお母さんに抱きしめられるような気持ちになる、そういうのが最高のチーズだと思います」
さまざまな料理に合う美味しいチーズですが、ちょっと面白い、井ノ口さん流の食べ方もあって、「キャベツのお味噌汁に入れたり、野菜炒めに乗せたり」。食材の邪魔をせず、料理の味を広げてくれるそうなので、お試しあれ!
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チーズ工房・酪恵舎
トーマ・シラヌカ3袋 1,760円(送料別)
北海道白糠郡白糠町茶路東1線116番地11 01547-2-5818
9:00〜17:00 不定休
※トーマ・シラヌカはHBCショップのサイトからもお求めできます。
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