2022.09.05
育む道内の子どもたちの「視力の低下」が、著しく進んでいます。
道が、ことし3月に公表した調査結果によりますと、視力が、1.0に満たない子どもの割合が、「幼稚園児」と「高校生」の、2つの世代で全国平均を上回りました。
特に「幼稚園児」は、前回の調査から15ポイント近くも悪化しています。
その原因について、眼科医は「デジタルデバイスを使うことの低年齢化が最大の要因だと思います」と指摘します。
スマートフォンやタブレット端末の使い過ぎで、目の病気を引き起こす危険性もあると指摘されています。
札幌に住む、小学4年生。スマートフォンやタブレット端末で動画を見たり、友だちとゲームをしたりするのが大好きです。
幼稚園の年少の妹も、お姉ちゃんを見て、タブレット端末を使っています。
母親は、「ゲームをやりながらお友達と会話ができたりするので、止めさせたいと思うんですけど、そこまで取り上げてしまったらなと思って…。コロナでお友達を作る機会がなかったんですよね。それで動画を見せたりしていたので」と話す一方、「視力が下がることは嫌なので、やっぱり不安ですよね」という想いも打ち明けます。
札幌にある、子ども用メガネの専門店「キッズコレクション富士メガネ」では、ここ数年、低い年齢から、メガネを使い始める子どもが増えていることを実感しています。
佐々木孝子店長は、「眼科から処方箋を持参でメガネを作りに来る方、メガネの必要性が出てきたお子様がいらっしゃいます。近視に関してはだいたい6~7歳ぐらい、小学校に入ってからぐらいのお子様が増えている感じがあります」と話します。
鼻筋がまだしっかりしていない小さな子どもでもメガネをかけられるよう350種類のフレームを取り揃えているといいます。
「レンズの中心と瞳がずれてしまうと、疲れやすくなったり、見え方が悪くなってしまう場合もあるので、注意してお選びするようにしています」と話していました。
札幌市内の小中学校で行う視力検査を受け持つ眼科医・ひきち眼科の引地泰一院長です。
子どもの視力が低下している要因を、こう指摘します。
「テレビゲームだったりタブレットだったり、スマートフォンだったりの使用頻度が増えている。小さいお子さんは目の視機能がまだ発達段階にあるので反応が十分に成長していない」
外出自粛やオンライン授業で、子どもたちがデジタル機器を使う時間が長くなっています。
小さい画面を見続けることで、目のピントを調整する機能が弱り、視力が落ちていると見ています。
さらに「北海道はやはり冬が長くて、どうしても家の中で生活しなくてはいけない。他の都府県のお子さん以上に留意しなくてはいけない」とも指摘します。
小さな画面を見続けると、目に深刻な影響が…。なんと、「ある日突然、眼球が内側に寄ってしまう」というのです。
瞳が内側に寄ってしまう目の病気「急性内斜視」。
いま、子どもを中心に広がっています。
その原因のひとつと考えられるのが、スマートフォンなどの見過ぎです。
引地院長は、「デジタルデバイスの使用が多いお子さんや若い方が、ある日突然、片方の目だけ内側に寄ってしまって、左右の視線がずれてしまう。その結果、物が二つにダブって見える」と話します。
目は、近くのものを見るとき、ピントを調節する筋肉が収縮して内側に寄ります。
しかし、目が成熟していない子どもは、小さい画面を見続けることで、眼球が元に戻らなくなるリスクが高まります。
一度症状が現れると見る機能が落ちて、生活に支障をきたすため、手術が必要になります。
引地院長は、「今の世の中、デバイスを使わないわけにはいかないので、賢く使うことが必要だと思います。内斜視にならないというのが何より大切なことですね」と話していました。
引地院長が勧める対策は、「3つの30」です。
① 画面との距離を30センチ以上話す
② 連続使用を30分以内にとどめる
③ 使用後は30秒ほど目を休めて遠くを見る
便利になっていく世の中で、健康を守るためにはどうしたらいいか…親子でルールの確認をしてみてはいかがでしょうか。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
※掲載の内容は番組放送時(2022年4月)の情報に基づきます。
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