今こそ知ってもらいたい「北海道のワイン」の魅力を、アルコール全般と地元・北海道をこよなく愛するライター・オサナイミカがお届けします。
前編に引き続き、今回のテーマは、小樽・仁木エリアで「ワイン」を巡る旅。コープトラベルが、星野リゾートとタッグを組んで生まれた『ぶどう畑でレストラン』というバスツアー企画があり、そのお披露目会となるメディアツアーに参加してきたようすをレポします!
今回は2日目の内容です。
名残惜しく、宿泊先の“OMO5(おもふぁいぶ)小樽By星野リゾート”さんを出発し、バスが向かったのは仁木町の【NIKI Hills Winery】
2019年にグランドオープンした、NIKI HillsWineryは、2015年からこの土地を開墾し、ぶどうの苗を植え、現在は33hの土地でワイン用のぶどうを栽培しています。
写真に写っているのは、総支配人の舟津圭三(ふなつ・けいぞう)氏。実は舟津さんは1989年に犬ぞりで南極大陸横断に成功し、冒険家として世界に名をはせた方。
なぜ現在、仁木町でワイナリーの総支配人をしているかと言いますと、ワイナリーのオーナーで自身も冒険家であるDACグループ代表・石川和則(いしかわ・かずのり)氏とアラスカで登山をした際、口説かれて決意したそうです。この時点ですでに、非日常な世界に入り込みます(笑)
ぶどう畑は、実が付くまでに3年かかります。その前に、ぶどう栽培に適した土壌にし、苗木を支える柱を立て、毎日手入れをし、今の畑の姿になるのです。オサナイはこの畑に苗木を植えたばかりの状態を知っているので、こうして青々とぶどうの葉が生い茂っている景色を見るたびに感動してしまいます。
北海道は、雪が降る地域。当然冬はこの苗木たちが雪に埋もれてしまうのですが、逆に雪が降ることによって、苗木が凍結することを防いでくれるので、翌年もまた元気に成長するのです。そのようなお話も聞けるので、とても勉強になり、ますます北海道のワインに興味が湧きファンになるのです。
ワインを醸造する施設の見学もさせていただきました。白ワインと赤ワインの造り方の違いなど、基礎知識も丁寧に教えてくれるので、ワインのことがよく分かっていないというビギナーの方にもお薦めです。
知識が少し、身に付いたところで、お待ちかねのランチがスタートしました!今日のためだけにNIKI Hills Wineryにあるレストランの永井シェフが考えてくれたメニュー4皿+デザート。
その4皿に合わせて、ソムリエの有馬さんがペアリングしてくれたワインが4種類も味わえるのです!
最初の一杯は、『HATSUYUKI Sparkling2020』。ここNIKIHills Wineryでしか入手できないスパークリングワインです。
ちなみにシャンパンと同じ“瓶内2次発酵”とう製法で作っているので、泡がきめ細かく味にもキレがあり、汗ばむ陽気の中で頂くのにピッタリのワインです。つい、グビッっと飲んでしまいました(笑)
そんなシュワシュワスパークリングワインに合わせて運ばれてきたのがこちらの一皿。
何とインパクトのある、立体的な前菜!!
【余市野菜の菜園風】と名付けられた1皿には、仁木町周辺で採れた新鮮な旬の野菜たちがギッシリ!ちなみに赤いじゅうたんに見立てている野菜は大根を赤酢でつけたもので、もちろんこちらも食べられます。
この酸味がまた、スパークリングワインにあうのです。
2皿目の前菜は、【ホタテ貝のコンフィのタルタル ニゲラ風 クスクス添え】
確かにホタテの味わいは感じるのですが、想像していたお料理とは全く違う1品。スパイスの使い方と食感が絶妙で、一緒に食していた参加者の皆様も大絶賛。
この1皿に合わせて登場したのが、【NEIRO2021】
味わいはドライですが、ほんのり甘い香りが残るこちらのワイン、ほんのりホタテの甘みが感じられるこちらのお料理との相性も抜群でした!
今回、北海道のワイン事情に詳しいシニアソムリエの阿部眞久(あべ・まさひさ)氏が、ワインが1杯出るごとに分かりやすく丁寧に説明をしてくれたので、より味わいの想像がしやすくなりました。
味わいだけでなく光にあてた時の色合いや、ほんのりと発泡が見えたりした時の説明もしてくれるので、視覚からも記憶に残るのです。それにしても、グラス越しのぶどう畑は格別に美しい・・・
ここで焼きたてのパンとシェフお手製の“塩昆布バター”が、運ばれてきます。
このバターが期待以上の美味しさでして、思わずパンをお替りしてしまったほどです(笑)
3皿目は魚料理、【優しく火入れした余市湾産シマソイ】
ソイは北海道民にとってはそれほど珍しい魚ではありませんが、このような調理法で頂くのは初めて!低温調理されてフワフワの身は、香草で味付けされた小麦粉で包んで(クルート)ソテーしているので、表面はパリッとした食感。
皿に敷いてあるキャベツのブレゼの程良い酸味が、白身魚の味わいに抜群に合うのです。またもや絶賛の声が上がります。
3皿目に合わせて注がれたワインは、【MUSUBI2021】
こちらのワインは、NIKI Hills Wineryのちょうど真向かい辺りにある、“ル・レーヴ・ワイナリー”のもの。ワイン用のぶどうを8種類使用して醸造したワイン(混醸)で、先ほど飲んだ“NEIRO”と同じ白ワインでもまったく味わいが違います。
実はNIKI Hills Wineryの前に、ル・レーヴ・ワイナリーにも立ち寄り、オーナーであり醸造家の本間裕康(ほんま・ひろやす)氏から畑やワインの特徴などのお話を聞いた後でしたので、よりじっくりと味を感じる事が出来ました。
さらに実はですが、ル・レーヴ・ワイナリーでも1杯試飲済み。
こちらは“MUSUBI Sparkling 2021(WASANBON)”という瓶内二次発酵で醸造したスパークリングワインなのですが、通常はグラニュー糖などを使用して発酵させるところを、和三盆に変えて発酵させたそうです。(ちなみに和三盆を使用しているのは本間さんが知る限りで他に1軒しかなかったとか)
話しは、NIKI Hills Wineryでのコース料理に戻りますが、肉料理は仕上げの藁焼きを、目の前で披露してくれるパフォーマンスも!
【北島豚のロースト】
先ほどの豚肉が、こんな上品な一皿で運ばれてきました。藁焼きのほのかな香り、そして豚肉の自然な甘み、さらにソースで味変。最後の一口まで飽きることなく楽しめました。ちなみに北島豚は、余市町で肥育されているブランド豚。
豚のローストに合わせて注がれたのは、“YUHZOME2019”こちらも現地販売のワイン。
ツヴァイゲルトレーベというぶどうで醸造した赤ワインは、軽やかながらもスパイシーで、豚肉にピッタリなのです。最後まで完璧なペアリングで、4杯キレイに完飲でした(笑)
最後にデザートが運ばれてきました。【NIKI Hillsのフルーツパフェ】
ワイングラスに入っていたので、思わずこちらで撮影してしまいました!
今回、全ての料理に仁木町がある“後志管内”の食材が使用されています。
後志は、小樽や余市、仁木町、ニセコ町などを含む、1市13町6村が含まれますが、海も山も田園も畑も果樹園もあり、さらにワインの醸造所をはじめ、ビール、日本酒、ウィスキー、ジンまで醸造する施設があります。
北海道の大地の恵みを、北海道の大自然と生産者の想いを感じながら味わえるなんて、地元民でも改めて素晴らしいツアーだと思いました!北海道産ワインと美味しいものが大好きな方はもちろんですが、もっと北海道のワインについて知りたい、飲んでみたい!というビギナーの方にもオススメです。
ワイナリーなどで飲食するときの最大のネックは、移動手段。
公共機関ではほとんど行くことが出来ず、車で行くとせっかくのワインを飲むことができない。そんな時は安心・楽チンなバスツアーが一番!帰りはワインの余韻に浸りながら心置きなく眠りにつき、気持ちよく札幌に帰還致しました。
ツアーの最後には”ワイン神社”としても有名な、仁木神社に立ち寄って参拝。
ワイン色のステキなお守りを発見!
これからも美味しいワインと出会えますようにと、購入しちゃいました。
何度も足を運んでいた小樽・仁木町ですが、『ぶどう畑でレストラン』のおかげで、ますます大好きな場所となり、たくさんの人に自慢したくなってしまいました。
次の【ぶどう畑でレストランin仁木町】ツアーは、9月23(土)~24日(日)の1泊2日で行われます。NIKI HillsWineryで試飲付きのワイナリーツアーのあと、スペシャルランチをル・レーヴ・ワイナリーで味わうルートです。今回ご紹介した内容とは、料理内容やシェフは異なりますが、きっと素敵なワインとの出会いがあなたを待っているはず…♪
その他、コープトラベルでは「美味しい旅 北海道」と称した日帰りバスツアーで、今回紹介したワイナリーを巡って試飲できるツアーもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
(お問い合わせ:コープトラベル)
また、どうしてもツアー参加は難しいけれど、ワイナリー巡りに興味があるという方にもおすすめなのが、仁木駅始発「仁木ワインバス」。JR仁木駅を基点に仁木町の見どころを無料で循環するバスが、9月18日までの土日限定で運行しているそうです。
(お問い合わせ:一般社団法人仁木町観光協会)
ワインを片手に、美しいブドウ畑を眺めたり、おいしいグルメを満喫することのできる、小樽・仁木エリア。ぜひ一度、この感動を体感してみてはいかがでしょうか。
<関連リンク>
★NIKI Hills Winery
★ル・レーヴ・ワイナリー
★コープトラベル
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文:オサナイミカ
Edit:nabe(Sitakke編集部)
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【ライター:オサナイミカ PROFILE】
札幌生まれ・札幌育ちの、アルコールをこよなく愛するアラフィフ、小学生の息子の母。 (株)リクルートが発行する情報誌生活情報サンロクマル(現Hot Pepper)の営業を経て、 2007年よりWEB情報サイトSapporo100milesの編集長として、札幌や北海道の食と観光の情報を【オサナイミカのつぶやき】にてアップしている。
▼前編の記事はこちら
前編「ついつい”飲まさって”しまう」スペシャル食事や風景と共に味わう、北海道産ワインの奥深さ【ワイナリーを巡る旅