視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部の「もんすけ調査隊」。
こんな疑問が寄せられました。
「地下鉄の東西線を、"東豊線"の車両が走っているのはなぜですか?」
え、どういうことなのでしょう!?
状況を整理してみます。
札幌市営地下鉄には、南北線と東西線、そして東豊線の3路線があります。
そして、南北線は緑色、東西線はオレンジ色、 東豊線が青と、それぞれ車体の色が決まっています。
しかし、依頼者が言うには、オレンジ色の東西線を、 なぜか青い色の東豊線の車両が走っているというのです。
さっそく東西線・西18丁目駅で調査を開始してみます。
しばらく張り込んでいると・・・
確かに、東西線に、青色の東豊線の車両がやってきました!
この日確認できた東豊線の車両は、9時台に3本、10時台に1本の、あわせて4本でした。
一体これはどういうことなのでしょう?
地下鉄を管理する、札幌市交通局に聞いてみました。
札幌市交通局・髙橋英広運転係長 「実は大通駅の構内には、地下鉄東豊線と東西線を繋ぐ秘密の連絡線という線路があります」
東西線と東豊線を繋ぐ、「秘密の線路」!?
それは何とも気になります。
HBCは札幌市営地下鉄から特別の許可をもらい、その線路を撮影させてもらうことができました。
東豊線の車両にカメラを設置します。
「1番ホームから回送車が発車します。ご注意ください」のアナウンスとともに、車両は、東豊線の栄町駅を出発。
通常通りに走行し、東豊線さっぽろ駅へ向かいます。
そしてココからが秘密の線路へと向かうルート!
東豊線さっぽろ駅を出発した車両は、本来の車線をはずれ、大きく右に進みます。
この通路こそが、職員しか見ることができない秘密のルート!
2回のチェックという厳重な警戒を越え、たどり着いた先が・・・
東西線・西11丁目駅!
このようにして、東豊線から東西線に入るのです。
イメージ的には、秘密の線路はこの様に走っているようです。
ではこの先、東西線を通って、東豊線の車両はどこに向かうのでしょうか?
西11丁目駅を出発した東豊線の車両は、通常通り東西線を走行。
そして西28丁目駅を出ると、 いくつもの分岐を超え、何やら建物の中へ。
この建物、実は、鉄道の車両を収容する車両基地!!
東西線の二十四軒駅から徒歩5分の場所にある、「西車両基地」です。
こちらの建物の地下が、東豊線の車両基地になっているのです。
では、ここで、先ほどの依頼内容に戻りましょう。
「なぜ東西線を、東豊線の車両が走っているのでしょう?」
その理由は、ずばり、「東豊線の車両を、東西線の車両基地に出入りさせるため」。
朝のラッシュ後に車両の数を減らすため、東西線を走り、車両基地に格納しているのです。
でもなぜ、東豊線の車両基地を、わざわざ東西線に作ったのでしょうか?
札幌市交通局の髙橋さんによると、「計画当初は、東豊線終点の栄町駅の近くに車両基地を建設する予定だった」といいます。
しかし、土地の確保ができず、すでに開業していた、東西線の西車両基地を使うことになったというのです。
札幌市営地下鉄・東西線が開業したのは1976年のこと。
東豊線が開業したのは、それから12年後の1988年です。
もうその頃には札幌のマチは大きく発展しており、 車両基地を建てるほどの広大な土地が確保できなかったのです。
そこで、もともと東西線に2つあった車両基地を活用することに!
二十四軒駅近くの西車両基地を東豊線、大谷地駅近くの東車両基地を東西線の車両基地と、分けることにしたのです。
つまり、東豊線が東西線を走るのは、 車両基地を確保できなかったことから生まれた苦肉の策だったというわけです。
なお、こちらは回送列車のため、乗車することはできません。
しかし、前の列車に追いついてしまうのを防ぐため、ドアは開かないものの、各駅に停車はします。
駅で見ることができたら、ちょっと得した気持ちになるかも!?
では、いつ、東西線のどこで、東豊線の車両が見れるのか?!
場所は、東西線の西11丁目駅~西28丁目の区間。
出庫は午前6時~7時台に6本、入庫は午前9時~10時台に4本と午前11時台に2本、合計12本が一日に走っているんだとか!
気になる方は、ぜひ確かめてみてはいかがでしょうか。
※掲載の内容は番組放送時(2022年8月19日)の情報に基づきます。