2022.09.09

暮らす

年金給付は老後だけではない!? FPが教える暮らしを支える3つの社会保険制度

旭川在住・ファイナンシャルプランナーの鶴羽です。
昨年の異常な暑さを思い出し戦々恐々と過ごしておりましたが、例年どおりの暑さでホッとしました。今年は花火大会も復活しましたね。3年ぶりの開催で楽しみにしすぎて、「どこのスポットで花火を見るべきか!? 」とウロウロと場所の選定をしているうちに花火大会が終わってしまう、というオチがつきました。みなさま何事も計画はお早めに……!
さて、今回はいざというときに知っておきたい暮らしを支える社会保険制度について紹介します。

社会保険制度の概要

お勤めの方は会社で社会保険に加入されていますよね。また、働いていても社会保険に入っている人の扶養に入る場合は保険料が免除されます。どちらの場合も社会保険に加入しているため、何か起きたときには保険給付を受けることができる社会保険制度が適用されます。
しかし、この社会保険制度については給与明細などで保険料が引かれているのはわかっていても、実際どう暮らしを支えてくれているのかご存じない方も多いようです。

社会保険には、医療保険・介護保険・年金保険・労災保険・雇用保険の5つがあります。私たちの暮らしの根底を支えてくれる制度ですので内容を知った上で、足りない分はご自身で準備していきましょう。
今回はみなさんに知ってほしい以下3つをピックアップして書いていきます。

1:医療保険

医療保険は病院にかかるときに使う保険です。
医療保険のなかでも会社にお勤めの方が加入するのが『健康保険』、公務員は給与明細の短期掛金が保険料になります。
厚生労働省のHPを参考にすると70歳未満は自己負担額が3割負担(就学前2割)。もし、入院して100万円の治療費がかかったとしても支払うのは3割の30万円。7割の70万円は国が負担してくれます。
医療保険は確かにありがたい制度ではありますが、突然家計から30万円支払うのは厳しいですよね。

そこで、知っておきたいのが『高額療養費』という制度。1か月(1日から月末まで)にかかった自己負担限度額が高額になった場合、一定金額を超えた分があとで払い戻される制度です。自己負担限度額の上限は一般的な給与(月給27万円以上51.5万円未満)の場合「80,100円+(総医療費*-267,000円)×1%」で計算ができます。

*総医療費・・・保険適用される診察費用の総額(10割)

もし治療に100万円かかった場合、この制度を使うと支払いが約9万円弱で済むのです。『高額療養費』は限度額認定証と保険証を病院の窓口に提示することで、医療費の支払いを自己負担限度額までとすることができます。
入院が必要な場合、食事代や差額ベッド代もかかりますので、入院日数にもよりますが上記の他にかかる医療費の目安は15万円前後。

このお金を考えるときに登場するのが民間の生命保険会社による医療保険です。社会保険制度の加入という土台がすでにありますので、民間の医療保険では足りない分だけ準備をしましょう。入院費をカバーする以上に受け取れる保険は加入しすぎだと筆者は思います。

2:年金保険

年金保険は会社員、公務員ともに『厚生年金』となります。
年金と聞くと老後の給付を思い浮かべる方も多いと思うのですが、実はその前にも給付を受けることができます。『障害年金』と『遺族年金』です。

『障害年金』は障害によって生活に支障が出た場合に給付を受けられるもの。ここで意外と知られていないのが、がんや糖尿病など内部疾患の方やうつ病、統合失調症の方も給付対象になること。興味のある方は「政府広報オンライン」を見てみてくださいね。

『遺族年金』は被保険者が死亡したときに遺族が受け取れる給付金です。18歳までの子どものいるご家庭は年間777,800円の基礎年金と子の加算額が給付されます。旭川市では第1子、第2子は一人につき年間223,000円、第3子以降は一人につき年間74,600円が子の加算額となっています。
老後だけではないサポートはいざというときに心強いですね。

厚生労働省年金局によると、女性の老後の年金は平均で年間約120万円だという統計があるそうです。一人暮らしを考えると毎月約10万円の年金給付は心もとない金額ですので、今の働き方として厚生年金に加入できる職に就く、もしくは資産運用などで足りない分を準備していく、など老後の生活費を意識していく必要があると感じています。

3:雇用保険

『雇用保険』は失業した場合に給付されます。求職活動を円滑に行うためのサポートなので、ずっと給付されるものではなく基本手当の受給は1年間です。自己都合の退職の場合は原則3か月間の給付制限もあります。
また、『雇用保険』には『教育訓練給付制度』もあります。『教育訓練給付制度』は国がキャリア形成を支援する制度であり、働いている方も利用できるものです。詳しく知りたい方は厚生労働省の情報をご確認ください。

まとめ

社会保険はさまざまな形で暮らしをサポートしている制度です。今回は一部分だけのご紹介となりましたが、保険の土台として機能しているものなので、自身の健康状態を見ながら自分にどの保障が足りないのかを確認した上で、生命保険の加入などを検討してみましょう。何事も目的なく加入するのが一番もったいないのです。ご自身の必要保障についてプロの視点でアドバイスがほしい場合はファイナンシャルプランナーへご相談くださいね。

文:FP鶴羽(ファイナンシャルプランナー)
HP:株式会社トリプルエム

【参考】
厚生労働省公式HP
政府広報オンライン
旭川市 遺族基礎年金

【画像】kouta、ペイレスイメージズ1(モデル)、マハロ / PIXTA(ピクスタ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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