2022.09.12

深める

「生理前のゆらぎ」どうすればいい?専門家と考えるPMSとの付き合い方

生理前になると涙もろくなったり、イライラしたり、落ち込んだりしませんか?
10代後半から50代までという人生の長い期間、女性は毎月訪れる生理と付き合って生きていますが、初潮から閉経までずっと生理前の不快症状に悩まされる女性も少なくありません。
今日はそんな生理前の不快症状、PMSとのつきあい方について、婦人科クリニック勤務歴15年の公認心理師である筆者がお伝えします。

自分の生理周期と心身の関係を知る

一言で生理前の不快症状と言っても千差万別。イライラ、落ち込み、不安、涙もろくなるなどの精神症状が強い方(精神症状が非常に強い場合はPMDDという診断となることもあります)もいれば、眠気や頭痛、肩こりなどの身体症状が出る方もいます。
症状が出るタイミングにも個人差があり、生理の始まる2~3日前から出て、生理が始まると症状がなくなる方もいれば、生理が始まる1週間前から生理が終わるまで続く方も。

まずは、自分の生理について知ることから始めてみましょう。
おすすめはPMSダイアリーをつけること。手帳などに生理周期と自分が困る症状を2~3か月記録してみましょう。記録時に「残業だった」「おいしいケーキを食べた」等、ふと頭に浮かんだその日の出来事を1~2個書き留めてみると、振り返ったときにより自分を知ることができますよ。調子が悪くて、書くことも大変だなと思うときは無理せずに。自分の体調を知るための記録なので、体調のいい日は〇、悪い日は●などマークを決めておくのもいいと思います。
そして、生理後など調子のいいときに記録を振り返ります。2~3か月やってみると、「生理前〇日くらいに調子が悪いみたい」など自分の生理周期と体調不良の関係が見つかることがあります。逆に、生理ではない部分に体調不良の原因があると気づくきっかけにもなるかもしれません。

自分の周期にあった予定を組む

自分の生理周期と心身の関係性が少し見えてきたら、今度は予定の組み方を考えます。
基本的な組み方は、自分の調子が少し悪くなるころに負担が大きいタスクを極力組み込まないようにすること。仕事や育児、学業など自分でコントロールできないことはそのままで、それ以外の部分を自分で少し工夫してみましょう。
その際に大事なことは「何が自分にとってどのくらい負担になるか」をよく考えること。
普段は人と会うことが好きな人でも、元気がないときは負担になることもあります。自分がどのようなタイプか知るには試してみるしかないですが、いいと思った行動で落ち込むときもあるでしょう。
まずは、調子が悪いときになるべくmustで動くことを減らし、wantで動くことを心掛けてみるといいと思います。色々と試してみるなかで、自分にとっての負担レベルがわかるようになっていきますよ。

生理前の1か月が大事

生理前の行動の大切さを話してきましたが、実は生理前数日間だけ何かを気を付ければいいというものではないのがPMS。PMS症状は前月の過ごし方が反映されているといわれています。
無理をしてストレスがたくさんかかった翌月の生理前はPMS症状が強く出やすいことがあったり、ゆったりと楽しい気持ちで過ごした翌月の生理前はあまり症状が気にならないこともあります。
生理前にしんどくなり、「自分なんて何もできない……」と落ち込んだときは「この1か月、ちょっと無理しすぎちゃったんだな……」と自分の頑張りを褒め、いたわりましょう。
逆に、症状が少ないときは1か月前の過ごし方を参考にしてみるといいかもしれません。

生理前は立ち止まって自分をいたわる絶好のチャンス

女性の人生は女性ホルモンの変動に大きく影響を受けます。大きな変動に身体も心も戸惑う人も少なくありません。初潮、生理、人によっては妊娠や出産、更年期を迎えて閉経という流れに翻弄されるのはなかなかしんどいこともありますが、変化のときこそ立ち止まって自分を見つめる絶好のチャンスです。急に大きな変化に対応しようとするより、毎月の生理のたび今の自分を理解して、今の自分に合う方法を見つけて修正する練習をしておくと、精神的に健康な状態で過ごせるようになるかもしれません。
大事なのは今このときの自分にあった選択をすること。
自分のことを採点するのではなく、今の自分を知ってありのままの自分を受け止めてみましょう。
今の自分にあった過ごし方をきちんと選択できるようになることは、あなたの心を健康に保つためにとても役立つと思います。

※PMSの症状にお悩みの方は、一人で抱え込まずに医療機関へ相談しましょう。

文:竹原久美子(公認心理師/婦人科クリニック勤務)

【画像】phenphayom、 hirost、 sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • twitter