熱い思いでビールをつくる者がいれば、それを大切に飲む者がいる。そして、そのつくり手と飲み手の間には、両者を引き合わせる者もいる。
昨年末、杉並町にオープンした『HAPPY AS LARRY(ハッピーアズラリー)』は、クラフトビールの専門店だ。TAP(樽生ビール)とボトルや缶で主に国内のブルワリーの、珍しかったり、お馴染みだったり、新進気鋭だったりするさまざまな銘柄をそろえる。
店主・松本美栄香さんは、ワーキングホリデーで滞在したカナダのトロントでクラフトビールに出会った。カナダには小規模のブルワリーがたくさんあり、あちこち通ううちにクラフトビールの奥深さに惹かれていったという。「たとえば同じヴァイツェンでもつくり手によって味がまったく違うし、ぬるくなっても香りと味が楽しめるんです。とても面白い飲み物なんですよね」
店の存在はクラフトビールファンの間を口コミで広がり、開店4ヵ月で早くも上々の評判だ。オープン当初から足を運んでいる常連は「TAPを選ぶのが上手で、なかなか飲めないものを出してくれるとても貴重な店」と評する。また、松本さんはすでにクラフトビールを好きな人たちだけでなく、クラフトビールに馴染みがない、あるいは苦手という人々へも間口を広げている。「苦手なスタイルのビールでも、うちで飲んで好きになったと言われたときは、めちゃくちゃ嬉しかったですね」
松本さん自身が熱烈なクラフトビールファンであり、彼女が手書きで用意するそのときどきのメニューは、いわばプレゼン資料。多くの人をさまざまなブルワリーのビールとつなげ、彼女自身もそれを楽しむ。「楽しみな樽を開けたとき、お客さんと「どう?」って言い合いながら飲むのが楽しいんですよね。まだまだ冒険と挑戦をして、攻めていきますよ」。
函館市杉並町23-10
instagram/hapilari
函館のローカルマガジン「peeps hakodate」から、選りすぐりの記事をお届けしています。
■ハンバーグか、ステーキか。カレーも旨い。悩ましきケルン【函館の愛される店】
■「私にとっては、元気な街」変わりゆく街・大門を、それでも選んだ30代の店主たち【函館】
道南の記事一覧:【道南のお気に入りを見つけたい】