2022.06.14

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【悩み】恋人の「元カノ」の存在が気になる…どうしたらいい?(S市在住・25~29歳)

は〜い皆さん!ごきげんよう。 Sitakke連載【お悩み相談コラム】担当・満島てる子です。

札幌はここしばらく、暖かく晴れやかになったと思ったら急に涼しくなったり、さらっと雨模様が続いたり。「蝦夷梅雨」ってこんな天気のことをいうのかしらねぇ、なんて思いながら日々を送っております。

あたしは三重県出身なんだけれど、あっちの梅雨って「ねえ……もう1週間も豪雨続いてないかい……世界終わるの⁉ノアの方舟どこよ⁉」ってぐらいハンパじゃないときがあるのよ。
だから、北海道のこの移り変わりおだやかな天候には最初びっくりしたんです。それと同時に「あたしの恋心も、これぐらいサラッとカラッとしてたらなぁ」って願ってみたり。笑

でも、願ったところでそううまくはいかないのがこの世の中(とほほ)。
情緒の振れ幅が激しすぎて、時に爆弾低気圧状態にもなっちゃうことがある自分。北の大地に越してきて15年近いというのに、どうやら「こころの空模様」は本州仕様になっているようです。想いを寄せる相手を暴風雨のなかにぶち込んじゃって、多大な迷惑をかけることも。日々反省……なんだけれど!

今回は、そんな割と直情型のあたしでも、「いやそりゃ当然、メンタルのヘクトパスカル乱れちゃうわよねぇ」と、冷静に考えさせられるお悩みが来ていました。ご紹介したいと思います。

今回寄せられたお悩み「いまのパートナーの"過去の恋人"の存在が気になります。」

布団の中って入るだけで、季節問わず本当に、本当に幸せなのよね……と、ペンネームにも謎の共感をしてしまったこちらの投稿なのですが。笑 まずは相談してくださってありがとうございます!

さて、投稿者さんは「今は私がそばにいるの!」と、懸念を打ち消す強い気持ちも持っているようですが、これって実はそう軽くないお悩みよねぇ。だってさ、まずもってこの「相手の昔のパートナー」問題、一口に「悩む」と言ってもいろんな角度があるよなぁって思うの。

例えば、元カノたちの連絡の内容に焦点を当てるのか、今のパートナーさんのスタンスが問題なのか、はたまた投稿者さん自身のキャパに目を向けてみるのか。いろいろ考えられちゃいそうですよね。

しかも人がなにかに悩むときって、もちろん「ここが特に気になるのよね……」ってパターンもあるかもしれないけど、たいてい いろんな要素がないまぜになり、複雑怪奇に絡み合ってきちゃうもの。
だから相談者さんはこの問題について不安になるとき、どの角度というよりは、もしかしたらいま挙げた「元カノ」「パートナー」「自分」といった、いろんな切り口がこころのなかで乱反射して、「なんなのよ!もう!めんどくさい!」って感じになってるんじゃないかなとも勝手に想像したりしていました。

あたしの個人的な恋愛遍歴としては、心惹かれる殿方が艶っぽい評判を得ていることが多かったので、今回のお悩みとほぼ同じというか、その上位互換(よくない意味よ?)みたいな状態になることまみれ。いっとき相手とステディな状態になったとしても、SNS越しや会話から「昔、噂のあったあの人とやり取りしてるよなぁ……今でも……?」と疑心暗鬼になったり、「結局あたしでは釣り合わないのよね」と落ち込んだり。
それこそ冒頭の話じゃないですが、こころの気圧の乱高下にふりまわされっぱなしな人生を送ってきた気がします。笑

そんな経験から知ったのは、この悩み、「この人、自分から離れて、どこか別のところに行っちゃうのかなぁ」って心配だとか、「自分だけのものでいなきゃヤダ!誰かとどうかなってるなんて許せない!」って独占欲だとか、そんなプラスとはなかなか呼び表せないような感情たちがいい肥料となって、大きく育ってしまうようで。

世の中には「束縛?相手にも自分にも、そんな気持ちあんまりないなぁ」という方もいるし、「誠実な関係ならば、パートナーはひとりじゃなくて何人かいてもいい。相手だってそう」という考えの人もいるわけで(このスタンスは、日本でも「ポリアモリー(複数性愛)※」という単語を通じて、近年認知されるようになってきました)、悩みを育てる肥料を自分にあげがちなのか否かについても、割と個人差があるように思いますが……。

自分がモノアモリー(単数性愛、パートナーをひとりに限定するスタンスのことを指します)であり、感情が湧き出ちゃうタイプであることは、今後もそう簡単には変わらないだろうなぁと考えると、投稿者さんが不安を抱くのと同じように、この「肥料盛っちゃう」という傾向とは、今後も恋をするたびに付き合っていかなきゃなのよねぇと、なんだか相談に乗る立場なはずなのに、おのれのことについても振り返ってしまったのでした。笑

あたしなりのAnswer

とまぁ、「どう感じますか?」という質問を投稿文の中でいただいていたので、ここまでの前半はなんだか、あたし自身についてのお話多めになってしまいましたが(”問わず語り”って感じになってないといいけど……笑)。
やっぱり 主題とすべきは「どう行動するか」 よね。
恋の空模様ぐずつきがちなアドバイザーではありますが、この「昔の人の影」問題について、自分自身にも定期的に言い聞かせ、意識していることを書いていきたいと思います。

「どう行動するか」?自分ができることは?

まず、です。
恋に限らず、どんな状況についてもこれは言えると思うんですが、なにか目の前の問題や悩みについて「行動する」となったとき、人が手を出し工夫できるのって、グラデーションがあるとしても「自分できちんとしたコントロールができる範囲」に限られていると思うの。

例えば、「明日遠足なんだけど雨が降りそう……」って時にやれることは、傘を用意することと、雨天時の開催についてのルールを確認しておくこと(そして、万が一そういうルールがはっきりしなかった場合は、学校側に聞くとかね)。
天候を自在に操って晴れにするなんてことは、神様か異能バトルものの漫画の主人公じゃないとできないし、「明日から晴れになるまで、全日程を予備日にして!」なんてクレームを学校に入れ、それを押し通そうとするのは、モンスターペアレントの所業でしょう。

「昔の人の影」問題の場合も、これと同じ。

パートナーの様子に自分が不安を感じてしまうこと、感情にゆらぎが生じてしまうことは、天気と同じでなかなか止められるものじゃありませんし(訓練すれば晴れやすくなるのかもしれないけれど、人間の感情って、行動や思考と違って自分自身にとっても突発的なもので、そう簡単に制御できないわよね)、じゃあ元カノたちに「うちの人と連絡取るんじゃねえよ!」と威嚇すべきかというと、他人の意思ってどこまでいっても「自己コントロール」の範囲外

そこに異議申し立てをしても、結局こちらが意味なくキレただけで終わりかねません。

じゃあこの場合の「傘」や「ルール」的なものって、一体何なのか。
これは人によっていろいろありそうよね。信頼できる友達に愚痴を聞いてもらうことが、気持ちの”しとしと具合”を緩和してくれることもあるし、そういうときはカラオケで歌いまくるの!なんてルーティーンを決めている方もいるでしょう。

あたしの場合はですが、過去の経験から考えてみると、こうしたときの「傘」は、隣りにいてほしい愛しい相手との腰を据えての対話、「ルール」はその対話から出てくるふたりのお約束的なものだったように思います。

「重くない?」と言われてしまいそうですが(実際重めかなとは思ってるの笑)、おのれの伴侶でいてほしい人に対して、あえてはっきり「ちょっと聞いてほしいんだけど、あなたが〇〇なのが不安なの」と伝え、その話題についての向こうの考えを教えてもらうこと。これは、問題が個人的なものでなくなるという点でも、乗り越えたときにふたりの関係性に深みが出るという点でも、とっても意味のある行為だと思うの。

だって、相手はパートナー。ならば双方の生き方について、様々な事情を包み隠さず伝え、お互いの意見を交換し、そうしたやりとりによって、それぞれがどちらも心地よくいれるよう、自らの行動をコントロールするための土台を作っていくというのは、とても自然な営み。なんならそれこそが「誠実」であるってことじゃないかしら(そしてこの点は、ポリアモリーだろうとモノアモリーだろうと、感情が湧きやすかろうとそうでなかろうと、関係ないはずなのよね)。

「なので」と、そんなに簡単に言えることではないんだけれど……。気持ちを打ち明けてみるのも、ひとつの方法。

もしよければ相談者さんも、あくまであたしの経験からの提案にはなっちゃいますが、気が向いたらでいいから、元カノたちと連絡取ってるのモヤモヤするんだよなっていう今の感覚、パートナーに思い切って投げかけてみてはどうでしょう。そこで逆ギレされるなどして会話にもならないようなら、その人はその程度の人。「日当たり悪い奴ね……」と、ゆるくとらえておくのが吉。

もしあなたの話を真剣に聞いてくれて、自分達のルール作りにつなげてくれるような方なら、その人は素敵な人。どんな気圧配置の日でも、きっとそばで傘を持って、一緒に立っていてくれると思うんです。

自分の気持ちを打ち明けるっていうのは、近しい人に対してであってもそうやすやすとできることではないかもしれない。こころのナイーブな部分を傷つけられる可能性もあるし、相手との関係が悪化してしまう場合だって考えられます。
でも、あえてそうすることでより深い付き合いができるようになるというのは、どんな間柄についても言えるはず。

がっつり話し合うのでもいいし、もっと軽く、例えば蝦夷梅雨から免れた晴れの日、外を散歩でもしながら「ね!あのさ」と、ポッと言い出すのでもいい。やりやすい仕方で、まずは向こうに伝えてみてください。そうしたやり取りを経て、すぐではなくともだんだんと相手の「過去の恋人」というものが、あなたの中でも消化されていくかもしれません。

すぐに解決ってわけではないだろうけれど、そこらへんは焦らずに。
投稿者さんがパートナーと、他でもないふたりとして素敵な日々を歩めるよう、あたしも応援していますね!

ま・と・め♡

というわけで今回は「そうよね……人に歴史アリよね。恋だってなんだって……」と、この相談文をきっかけに、自分の過去も省みたりしちゃったのでした。笑 なかなかに湿っぽい恋愛街道歩んでるわぁ、あたし。嗚呼人生

そうそう、歴史って単語で思い出した。
なんと皆さん、来月でこちらのSitakke、誕生からまる1年を迎えるのよ!
このお悩み相談も1周年。みんなからの投稿を「やだぁこの悩みわっかるわぁ!」「そうなのよね〜なんか世知辛いのよね」と、酒のつまみかよってテンションで読ませていただきながら毎回わちゃわちゃ執筆させていただいておりますが、本当になんだかあっという間だった気がします。

小難しい表現を使う癖があったり、やたらと語り口がまどろっこしかったり反省点はたくさんあって、コラムニストとしては駆け出しとも言えないひよっこのあたしですが、みんなこれからもどうぞよろしくおねがいしますね!いつもありがとう!

1周年記念のコラム企画とかもちょっとやっちゃいたいわね。どんなことしよっかな♪「こんなことやってよ!」とかあったら、ぜひ【応募フォーム】から投稿しちゃってね。

ではではみなさん、また次回。
Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト:VES
編集:なべ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

※ポリアモリー:日本での語用には一部混乱も見られるように思いますが、この「複数のパートナーを持つ」というスタンスには「関係者全員の合意に基づいて、倫理的な関係として責任ある付き合いを形成する」という前提が含まれています(参照:深海菊絵(2015)『ポリアモリー 複数の愛を生きる』平凡社)。そのため、単なる浮気であったり、性的に奔放な様とは一線を画します。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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