2022.05.09

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「連休明け、なんだかやる気が出ない…」‟五月病”と上手に付き合う方法【タイプ別】

は〜いみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。ゴールデンウィークはそれぞれいかがお過ごしだったかしら?

「久しぶりに旅行に行くぞ!」「飲んで食ってやりちぎるわよ!」なんてバイタリティあふれる陽気な日々を送った方から、「休みとは一体なんだったのかしら……」「結局寝てごろごろして終わったなぁ」と、現代社会の通常運転を地で行った方まで、十人十色の様子が想像できちゃうわねぇ。

あたし自身は、時々お客さんと店の外にお出かけする予定もあったけれど、ほとんどが7丁目のパウダールームに立ち、カウンターを守り続ける日々。飲み屋商売からすると連休って働いてるのが普通だから、こんな過ごし方も毎年のことではあるんだけれど、「せめて日帰りでもいいから定山渓ぐらい行きたいわぁ……」なんて欲も30過ぎてから出てくるようになってきちゃったわ。笑(誰か……誰か連れてっておくれ〜‼)


 
そんなこんなで、きっと休日の過ごし方ってバリエーション豊か(?)なんじゃないかと思うんだけれど……。にもかかわらずこの時期、ホリデーの終焉を皮切りに、相当数の方に等しき仕方で訪れる災厄があります。そう、 言わずとしれた「五月病」 ですね。

まぁ、そもそも気力体力少なめ。仕事を除けば、やる気も元気も同時にMAXな瞬間なんて、1年に3回あったら奇跡なあたし(なんちゅうポンコツ仕様なんや……)。実家では起きて部屋から出てくるだけで「天変地異の前触れでは⁉」と言われてしまうぐらい、年がら年中「五月病」の亜種、なんなら上位互換みたいなものに取り憑かれている身としては、若葉を渡る風も懐かしい季節にちょっとエネルギーがなくなるぐらいでは、もうそんなに焦ったりはしなくなってしまったのですが。笑

お悩み相談の応募フォームにも「やる気がなかったりモヤモヤするときの、解決方法が知りたい」という投稿が、以前より多々寄せられておりまして……。なので今回は「五月病との付き合い方・いなし方」というテーマから、お悩み相談室特別編として、メランコリックな心持ちの対処法をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

そもそも五月病って?

とはいえ「ていうか五月病ってなんなのさ?」と言われると、よくわからないものよね。調べてみるとこの語、使われるようになったのはここ半世紀ぐらいのことらしいの。

『現代用語の基礎知識』っていう名前の、その年の流行語を盛り込んだ用語集のような年鑑があるんだけれど(1948年以降毎年発刊されてるんだって。中学生の頃とか親が買ってきてたなぁ……)、この本に初めて「五月病」が登場したのは1969年のことなんだとか。当時は、激しい受験戦争を終え、晴れて4月から大学生になった若者が、新生活から1ヶ月経って経験する虚脱感のことを指していたんだそうです。

「おっしゃああああ念願のキャンパスライフ‼」という大興奮の入学式からしばらく経ち、緊張感のゆるみというか、理想と現実のギャップというか、そういうのに心を骨抜きにされるって感じかしらね。見に覚えがあるわぁ……。苦笑

現在の「五月病」の使われ方についても、範囲は受験生どころか「人類皆兄弟(やる気ない意味で)」となっているような気がしますが、「今までと違う環境に置かれたことの反動」という意味は共通しているのでしょう。入学や就職は典型例ですが、4月には異動なんかで周りの人間関係が一新されたり、なにがしかの意味で皆「新しい生活」を迎えるもの。そうした変化へのストレスが1ヶ月のタイムラグを経て、じわじわと表に出てくるわけです。

また、反動というところから考えると、連休を目一杯楽しんだ人が、そこからのバックラッシュで重度の五月病になってるケースもよく見かけますね。なにかと縛りの多い日常から解き放たれ、自由気ままに己のペースで過ごせる心地よさ。そんな「禁断の果実」をしばらく堪能したがために、いざ通常運転に戻るとなると「やだ……現実なんてもう見たくない……」となってしまうのは、もはや自然の摂理。おお神よ、どうしてこんな試練を人間に与え給うたのか……。苦笑

正式な医学用語ではないとはいえ、気分の落ち込みだけでなく、食欲不振や不眠といった症状が出てくることもある、厄介で不条理そのものなこの「五月病」。ほうっておくと、本格的にからだやこころの調子を崩すきっかけになることも。もしなってしまったら上手にさらっとやり過ごしたいなぁというのが、きっと多くの人の願うところでしょう。

五月病との付き合い方、いなし方3選

さて、5月どころか年がら年中バイタリティ少なめな人間がみなさんにアドバイスするというのも、ちょっとばかし信用度低めかもしれませんが。笑 それでも、日常から生命力が低いからこそ、自分の焚き付け方というか、気だるい状況からの脱出にはそれなりのノウハウをもって、のらりくらりやっているあたし。

今回は、解決方法とまでいくかはわからないけれど、自分の経験をもとに「こうしたら五月病、軽くなったりして?」という案を、ここからみなさんに3つほどご紹介させていただきます。

その①「楽しみ!」と思える次の予定を作ってみる

こちらは、ホリデーは遊び尽くすのよ!タイプの方々におすすめの作戦。この手の人にとってはおそらく、五月病になってしまう主たるきっかけのひとつが、「ゴールデンウィークももう終わり……楽しいことが全部無くなってしまった……」という絶望感。待ち遠しいと思いながら、それに向けて仕事だったり学業だったりを頑張ってきた予定が、スケジュール帳から消えてしまう。それによる「燃え尽き症候群」が、このパターンの五月病にとっては、典型的な原因だと言えるでしょう。

では、連休をエンジョイするのに精魂を使い果たし、その結果「燃え尽きたぜ……真っ白にな……」となってしまうのが厄介なのならば。そのメラメラがちょっとだけ続くように、先に燃料を用意してしまうのは、ひとつの対抗策。「まだこれがある!頑張れる!」という予定を組んでしまうことで、その先しばらくのモチベーションを継続することができる気がするんです。

実際あたしも、例えばパレードだったり店の周年パーティーだったりと、気合を入れて向かうイベントの後は、身もこころも完全にバーンアウトしがち。そんなときに、ちょっとした友達とのご飯や買い物の約束をしたり、なんなら講演会のようなワクワクするお仕事のお話をいただくと、それに向かっていけるように自分の状態をナチュラルに整えることができるように思います。

「馬の鼻先に人参」のような、古いことわざではないけれど。ゴールデンウィークというものにとらわれず、その先に楽しいプランを立てておくと、鬱々とした気持ちからの脱却も少しは早くなるかもしれません。そしてまたその予定の先には、別の楽しいことを…。そんなサイクルを作ることで、生活全体のリズムも整ってくるんじゃないでしょうか。

その② 気軽に「だるい」と言える気心知れた人と話す

新美南吉という童話作家の作品に『でんでんむしのかなしみ』というお話があります。「ぼくのせなかのからには かなしみがいっぱいつまっている」とある日突然気づいた、一匹のでんでんむし。しかし、この事実を伝えようとしてほうぼう回ってみると、「いや君だけじゃなくて自分も……」と、かなしみを背負った知り合いまみれ。「自分だけじゃないじゃん!」と悟ったでんでんむしは、もう嘆くのをやめる、というストーリーです。

人生の悲嘆がすべて、こうして他人と比較することで救われるものではないとは個人的には思うのですが……このでんでんむしの応用、あたしの実感としては、五月病に一定数の効果を示すように思います。「嗚呼しんど」「なんかだるいんだけど」といった本音を、「わかる〜しんどいよね」「あたしもだるいわぁ、飯でも行く?」と受け止め、共感してくれる友達の存在は、「とりあえず五月病気味なのは自分だけじゃないらしいし、まぁそれなりにやっていくか」という気持ちの切り替えをもたらしてくれるはず。

また、自分の性格や生活スタイルを理解している人に、自分の抱える倦怠感について聞いてもらうことで、「もしかしてこうやってみればいいんじゃない?」「あんたの場合はさぁ……」と、時に自分にフォーカスを当てた生産的な意見がもらえることも。痛いところを突かれることもあるかもしれませんが、それも気心知れているからこそだと言えるでしょう。

言葉でこころを分かち合うことができる生き物、それが人間。正直な思いを語り合うことで、五月病とのたたかいを、ひとりではなくチームで乗り切ることができるかもしれません。特に普段から「気持ちを外に出すとすっきりするのよね」と感じている方は、ぜひこちらの対応策、採用してみてください。

その③「人生って五月病」の境地に至ってみる

今回の最終奥義は、どちらかというと連休の間も戦い続けた「面構えが違う」人向け。または、人生3周目以降に突入中の方へのオススメと言えるでしょうか。

……思うのですが「五月病」は、5月だから起こるのではなく、ストレス耐性を失いやすいタイミングが、ことこの日本ではゴールデンウィーク前後にやってくるという、その事実を象徴する現象。新生活の慣れなさや、大型バカンスからの気の緩み、または「あたしだってもっとこんな連休を……」みたいな、他人の有り様と比べて感じてしまう不平不満の爆発が、たまたま重なってしまうからこそ起こるものな気がするんです。

心を捻じ曲げてしまうぐらい負荷の強いストレスは、なんとしてでも解消したいもの。闇に飲み込まれてしまう前にできる限り浄化に努め、気持ちを楽に保った方がいいというのは、誰にとっても言えることでしょう。

ですが、ではストレスは完全に無くすべきものかというと、きっとそうじゃない。外界からの刺激という、シンプルな意味で「ストレス」を改めて捉えなおしてみると、そういう自分以外の周囲がもたらす予想外の影響があるからこそ、人間は「じゃあこんなことをしてみよう」「次はこれでどうかな?」と、自分自身を前に進めていくことができるように思うんです。だから「ストレスなんてものは、常にそばにあるもの」と諦め、さらには「そういう圧への耐性なんていつでも失っちゃいがち。五月病に似た状態になる可能性はいつでもあるんだ」と開きなおってしまうことで、人生の組み立てをもっと適当(なげやりでいい加減ってことではなく、適切で当を得ているってニュアンスなんだけど、伝わるかしら……)にしていくと、風通しよく心地いい日々を送ることができるんじゃないかしら。あたし自身は割と、覚悟ってほどのものではないんだけれど、そんな心情を自分の肝に据えながら、毎日をのらりくらりと送っています。

時に①や②を組み合わせてお茶を濁したりしながら、そもそもしれっと諦念の境地に至っておく。そうすればもう「五月病」という時節のものになんてとらわれることなんてないはず(とはいえ、その段階を経て「むむ……この人生とは果たして一切皆苦なのか……」という新しくてより巨大な懊悩が出てくるかも知れないけれど……笑)。
ストレス自体もある程度コントロールしながら、気楽なノリで世を渡っていければ最高ですね!

ま・と・め♡

というわけで、五月病との付き合い方・いなし方、個人的オススメ3選を紹介させていただきました。
これあたし、五月病のときに限らず「なんかそもそもなんのパワーも湧いてこないわねぇ……」というときに、意識的であれ無意識的であれ、割とどれもやっているなぁと思うの。なので、季節関係なく脱力ハンパない状況に陥っちゃったときには、みなさんよければこちらの記事を思い出してもらって、「ちょっとてる子の戯言に乗ってみるか」ぐらいの気持ちで、どれからでもいいので試していただければ嬉しいです!

そうそう先日、とあるお悩み相談について、その投稿者さんから「その後こんな風にしてます!ありがとうございました……!」と近況報告をもらったの。とっても嬉しかったわぁ。このコラムを通じて色んな人のお役に少しでも立てたならと、毎回執筆に向かうたび願っているのですが、こうした反応はとっても励みになるのです。これからも、皆さんのお悩みに一緒に向き合っていけたらと思うので、
応募フォームからの投稿(https://questant.jp/q/sitakke_teruko)など、引き続きどしどしよろしくお願いいたします!

ではでは皆さん、今後ともヨロシク。
Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
編集:なべ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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